木工機械 2011 1月 No.212掲載

《展望》

内需の柱としての住宅政策及び
林業・木材関連産業政策の提案
(平成22年度要望)
社団法人 全国木工機械工業会


 (社)全国木工機械工業会では、平成14年から毎年、内需拡大の大黒柱である住宅産業の活性化を図り、合わせて木材加工機械の需要拡大にも反映させようと、原口広報委員長が中心となり取りまとめた「内需の柱としての住宅政策の提案」を、政府施策に関する要望書として各団体の賛同を経て、関係者へ要望してきております。

 平成22年度政府施策に関する要望書は、日本合板工業組合連合会(会長 井上篤博)、日本合板商業組合(理事長 吉田 繁)、全日本木工機械商業組合(理事長 福本豊彦)、日本機械鋸・刃物工業会(理事長 庄子公侑)、日本繊維板工業会(会長 井邊博行)、全国建具組合連合会(会長 上中節彦)、(社)日本家具産業振興会(会長 加藤知成)、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(理事長 小野秀男)、東京都家具工業組合(理事長 山口干絵子)と工業会の10団体で協議し、「-内需の柱としての住宅政策及び林業・木材関連産業政策の提案-(平成23年度要望)」として取りまとめました。世界的な経済危機によりわが国経済は更に混迷を深め、内需の柱である住宅建設が低迷しており、それに伴い国内木材及び木材関連産業の経営危機は一層深刻な状況にあることから、要望内容は国土交通所轄項目と農林水産所轄項目を区分して記載しました。

自由民主党 谷垣総裁   公 明 党  太田議長
公明党本部 佐藤次長

 要望書提出は昨年12月6日に自由民主党総裁・谷垣禎一衆議院議員、元経済産業大臣・二階俊博衆議院議員、元幹事長・武部勤衆議院議員、太田昭宏公明党議長に提出した。

 その後、谷垣禎一自民党総裁との面談日程が調整され、本年1月14日午前に自民党本部総裁室に於いて谷垣総裁に直接要望書を手渡すとともに木材産業がおかれている著しく厳しい状況とその対応策として取りまとめた要望書の内容について詳細に説明するとともに、これを施策に反映していだだくよう強く要請しました。

 追って、太田公明党議長と衆議院第一議員会館に於いて、直接要望書を手渡し面談した。
 その席上、第一産業として、木材産業の川上から川下まで、その果す役割の大なるもの国家として取り組んでいきたい旨の発言があり、今後協議を継続していく事で一致した。

 武部議員、二階議員は現在地元で不在の為、1目24日の週に直接面談の上、木材産業の将来についてお願いする予定です。

 当陳情活動参加者は下記の通りです。

 川喜多専務理事(日本合板工業組合連合会)、西生事務局長(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合)、原口広報委員長・副会長、雨宮専務理事。

 尚、この要望書で採り上げている要望項目は、-内需の柱としての住宅政策及び林業・木材関連産業政策の提案-、1.新耐震基準以前に建築された住宅の建替に関する減税措置、2.環境配慮木造住宅部材加工の効率的な製造設備の整備・廃棄・新設への助成制度の創設、3.長期優良住宅や住宅リフォーム等の住宅建設の促進のための税制、金融,補助事業の拡充、4.住宅取得に関する、生前贈与非課税枠の金額(1,500万円)の継続実施、5.住宅エコロジー推進に関し、設備費及び設置工事に対する補助金の拡大、6.耐震補強に関する,耐震工事金額の半額補助金を実施、7.二戸目の住宅取得にも生前贈与の非課税枠適用、8.地球温暖化坊止(CO2削減)のための新たな税制の創設、9.国産材の(地域材の)需要拡大施策の推進、10.森林・林業再生プランとその実行への要望、11.中小企業対する運転資金の貸出継続と業界縮小による取引量の減少に伴い約定返済の繰り延べ措置、12.法人の負担軽減で、計12項目である。

 工業会としては、今後も木材関係業界振興のため、積極的な活動を行っていくことにしております。





-内需の柱としての住宅政策及び
林業・木材関連産業政策の提案-


 アメリカ発金融システムの崩壊により、実体経済の大幅な減少によって外需依存型産業に基盤をおく日本の経済体制は内需主導型へとチェンジする潮目にかかっています。
 このことは、内需の柱である住宅政策が経済活性化に大きな役割を担わなくてはならないことを意味しています。
 『すべての日本の家族のために良質な住宅と居住環境を提供すること』の目標のもと、長期の視点にたった「住宅税制」に改革するとともに、各種の住宅建設の促進対策を早急に実施しなくてはなりません。
大幅に低迷し続ける住宅建設の影響により木材及び木材関連産業の経営危機はますます深刻になっております。
 低炭素社会への円滑な移行が国の重要政策となっている中で、国産材の利用促進による地球温暖化防止及び地域経済の活性化による雇用の安定・増大のため、我が国林業・木材産業の長期的、持続的発展という新たな観点から以下の対策を要望致しますので、宜しくご高配の程お願い申し上げます。



Ⅰ.内需の柱としての住宅政策

 木造住宅をはじめとする新設住宅着工及び耐震、省エネ等住宅リフォームの増大のための、大胆かつ抜本的な補助、金融、税制措置を講じていただきたい。特に、30代、40代のサラリーマンが安心して住宅を購入する、或いは既に住宅を所有している世代が積極的にリフォームを行えるような、補助金による支援、金融上及び税制上の思い切った優遇措置を政府として講じていただきたい。

  1. 新耐震基準以前に建築された住宅の建替に関する減税措置
     社会資本の整備は台風、地震国として、国民の安全性、防災性、耐震性の見地から税制の優遇があってしかるべきであります。
    安全・安心の社会資本整備の見地から、1981年新耐震法以前に建築された住宅の建替を積極的に推進し、阪神淡路大震災で死傷者の80%が新耐震法以前の古い合法木造住宅倒壊によって引き起こされた惨事を二度と繰返さない政策が望まれます。

    • ○新耐震法施工以前の住宅建替1/3補助金

  2. 環境配慮木造住宅部材加工の効率的な製造設備の整備・廃棄・新設への助成制度の創設
     耐震・耐火・耐久・防災・安全の長期優良住宅の建設促進のため、木造枠組壁工法部材加工工場(コンポーネント工場)及び軸組工法(在来工法のプレカット工場)の製造設備の整備・新設等(等には、設備廃棄を含む)に対する新たな助成制度を創設する。
     CO2排出25%削減の達成と内需拡大による雇用創出を国是とするのであれば、長期優良住宅・建物の振興を図るに当って、国産材、輸入材に関わらず、その基盤整備として、木材産業の国内製造・加工設備機械の一層のコンピューター化を推進し、製造・加工の国内回帰を図る内需拡大策の抜本的取組が不可欠である。また、そのための既存設備の廃棄のための補助制度も不可欠である。

    • ○枠組壁工法・軸組工法の部材加工機械補助率を1/2とする。

  3. 長期優良住宅や住宅リフォーム等の住宅建設の促進のための税制、金融、補助事業の拡充
     住宅に係る消費税の廃止、住宅ローン減税の拡充、長期優良住宅促進事業の充実等。

  4. 住宅取得に関する、生前贈与非課税枠の金額(1,500万円)の継続実施
     親世代が子世代に対し、本施策により非課税で贈与が可能であると、二世代住宅を含め子世代の住宅取得が容易となることから、減少した住宅建設が一段と進むと考えられます。

  5. 住宅エコロジー推進に関し、設備費及び設置工事に対する補助金の拡大
     特にクリーンエネルギーである太陽光発電設置住宅に対しては、大いに期待する所です。

  6. 耐震補強に関する、耐震工事金額の半額補助金を実施
     全国世帯数の95%以上が耐震補強住宅となる国の施策の実現が、本施策により早まると考えられます。

  7. 二戸目の住宅取得にも生前贈与の非課税枠適用
     時間を移動する事によって、もう一つの風土という空間を亨受する精神的豊かさが人間性を育み、文化や伝統の調和されたコミュニティーが形成されます。
    都市の生活と田舎の生活を共に手にする事が出来ます。
    世界一の金融資産を動かす仕組作りが閉塞した現時の日本には必要です。



Ⅱ.林業・木材関連産業政策

 はじめに、地球温暖化防止(CO2排出削減)を進めていく上で、炭素固定に資する木材利用を推進するための助成制度の創設を要望致します。
 木材は重量の半分が炭素で、燃えるか、腐朽しない限り炭酸ガス(CO2)は発生しません。この木材の特徴を利用している木材・木材関連製品(製材・合板・繊維板・集成材・木質ボード、木製家具、建具等)は常に炭素を保有し、商品としてある限り、炭酸ガスを放出しません。
 木造住宅・建物はあらゆる木材、木材関連製品の集合体です。最近行われた LCA(ライフサイクル評価)では、木造、鉄骨造、コンクリート造の住宅の環境に対する影響を比較し、材料の生産と建設において、鉄骨造の場合は26%、コンクリート造の場合は31%も、木造に比べて温室効果ガスの排出量が多いと報告されております。
 また、林業経営活動による森林吸収源対策として、森林整備・保全の推進が必要である事は論を持たないところであります。健全な森林が健全な河川を維持し、豊穣の海を育んでおり、このサイクルが日本の直面しているCO2排出削減と食の安全・自給率向上に貢献する事になると確信しております。
 日本は、2020年までに炭酸ガス排出量を1990年比25%削減するという国際公約を発表しておりますが、このような中で「森林・林業再生プラン」の最終とりまとめが、本年11月30日に公表されました。
 今後、10年間で国産材自給率50%とすることを目標とし、この達成のため、公共建築物の木材利用促進に関する法律が制定・施行され、今後、森林法の改正、森林・林業基本計画の改定法が進められると伺っております。
 これらの施策の推進に当たっては、是非とも合板、製材等の国産材(地域材)の利用促進を明確に位置付けて頂き、我が国林業・木材産業の長期的、持続的発見という観点から以下の対策を要望致しますので、宜しくご高配の程お願い申し上げます。

  1. 地球温暖化防止(CO2削減)のための新たな税制の創設
    1. 炭素固定に資する木材利用を推進するための税制上の優遇措置を講ずること。
    2. 平成23年度からの導入が検討されている「地球温暖化対策のための税」につきましては、間伐等の森林吸収源対策や木材の需要拡大等森林・林業・木材産業の発展のために使用されること。

  2. 国産材の(地域材)の需要拡大施策の推進
    1. 国(国土交通省、農林水産省等)及び都道府県等が行う「地域材」を活用した住宅などの木造建築の促進のための、各種の補助事業や利子助成等の支援事業について、その実施要領、仕様、採択要件に製材等の軸組材のみならず、合板等の構造用面材料を含めた「地域材を活用した関連製品」の明記による事業対象化。
    2. 森林の持続可能性を確保するための森林計画制度の抜本改定を踏まえた木材製品のCOC認証制度の充実(合法木材認定マークの板面表示、SGECのCOC認証の充実等)
    3. マテリアル利用を優先したカスケード型の木材利用を基本とした森林資源の有効活用。

  3. 森林林業再生プランとその実行への要望
    1. 路網整備や機械の導入による林地からの木材(A材、B材、C材に拘らず)の材料搬出コスト削減のための支援(補助金制度の拡充や実施の迅速化)
    2. 輸送距離(50km、100km等)に応じた木材輸送に掛かるコストの補助金制度の確立。(地産地消が望ましいが、場所によっては、工場までの距離が離れている場合への対応策として輸送経費への補助制度の継続・拡充)
    3. 原料丸太の安定供給のための国有林・公有林・私有林(公社造林地を含む)の連携によるシームレスな「システム販売」制度の活用。
    4. 木材加工機械・装置への補助金の制度。
      木材を加工する際に必要とされる装置(バーカー、チッパー、スライサー、乾燥機等の装置)への補助金制度の拡充。


Ⅲ.緊急経済対策の提案

 4年連続で増加し平成18年度は1,285,246戸と回復基調にあった新設住宅着工数は、平成19年度には1,060,741戸へと大幅に減少しました。
 平成21年度は788,410戸と激減し、急激な環境の変化等により低迷しており、建築関連中小企業にとって激しい状況が続いています。
 このような状況を踏まえ、今般、従来のセーフティネットの概念を超える保証制度の期間限定支援としての「緊急保証制度」が創設され、強力な金融支援策が講じられたことに深く感謝申し上げます。

  1. 中小企業に対する運転資金の貸出継続と業界縮小による取引量の減少に伴い約定返済の繰り延べ措置
     急激な業界悪化に対し、緊急救済措置として要望します。

  2. 法人の負担の軽減
     グローバル化によるメガコンペチションの時代にあって、国際競争力の観点からも法人税の恒久的な軽減を要望します。
    成長戦略の観点から雇用創出、設備投資創出、企業の環境改善、従業員のベースアップ、等々の見地から中長期的な内需拡大を図って戴きたい。
    世界の法人税率は、韓国24.20%、デンマーク25.00%、スイス25.09%、フィンランド26.00%、スウェーデン26.30%、イタリア27.50%、イギリス28.00%、ノルウェー28.00%、ドイツ30.18%、カナダ31.32%、日本39.54%。
    上記の通り日本が最も高く、税制、労働政策、為替で日本企業は窮地に立たされ、競争力の低下で雇用が減り、税収が激減する悪循環に陥っています。

    • ○実効税率30%へ引下げ。課税ベース拡大厳禁。

以上、12項目について、ご検討の上、是非実現されん事を要望いたします。
以上

木工機械 2011 1月 No.212掲載