「内需の柱としての住宅政策の提案」要望書を
前・武部農水大臣に引き続き
扇千景国土交通省大臣にも手渡す

                                               


 全国の木工加工機械メーカーで構成する(社)全国木工機械工業会(東京都港区芝公園三ノ五ノ八機械振興会館、宮川嘉郎会長、電話〇三‐三四三三‐六五一一)は、七月二日に宮川嘉郎会長はじめ同会幹部四氏が、農林水産省の大臣室に武部勤農林水産大臣を訪ね(本紙八月号詳細概報)、表記「内需の柱としての住宅政策の提案」要望書を手渡したが、この後のアクションプログラムとして去る九月二十六日午後二時に要望書の内容主旨から主管省庁にあたる国土交通省を訪ね大臣室で扇千景大臣に要望書を直接手渡し、その内容に至った経緯について説明した。

 今回、扇大臣に手渡した要望書は農林水産省に提出したものと内容は同一だが、今日の不況打破の解決策の一環として住宅産業を内需拡大の大黒柱にすべく、強いては木材加工機械の需要に反映しようと同工業会が主体となり、住宅産業の活性化を側面から促そうと精力的に行動を起こしたもので、前回は(社)全国木工機械工業会一団体のみの要望書であったが、今回は関連する団体に呼び掛け賛同を得た三団体と結束して行動を共にしたもの。

 主旨に賛同した団体は、全国木造住宅機械プレカット協会(齊藤陸郎会長)、日本機械鋸・刃物工業会(渡邊浩理事長)、全日本木工機械商業組合(前田静正理事長)。

 なお、扇大臣へのコンタクトは公明党幹事長代行の太田昭宏衆議院議員の配慮がなされ同氏同席のもとで行われた。

国交省に要望書を提出した経緯を記者発表する

(社)全国木工機械工業会(宮川嘉郎会長)は前記、国交省への要望書提出について、九月三十日午後四時から機械振興会館会議室で記者発表を行った。
 発表は同会広報委員長の原口博光氏(日新興産(株)社長)と日本機械鋸・刃物工業会の大谷徹専務理事、全日本木工機械商業組合の安塚公紀事務局長が出席した。
 
 要望書の全文については既報済みで省略するが、今回特に説明に及んだ部分は「生前贈与、非課税枠を現行の五五〇万円から三千万円へ」の枠拡大を要望した点にあるとしている。
 
 この三千万まで広げることによって、世界一の金融資産が動き出し、現時のデフレ対策としてもその効果は大きく、また、住宅取得に限定する事によって、親から子への単なる資産移動としての貯蓄(眠れる資産)を防ぎ、経済の活性化を促す。
 この効果によって住宅における居住空間の向上、良質な住宅、安全な移住環境を生み出し、お年寄りが子供と接する伝統的な日本の教育が近来の青少年の犯罪防止にもつながる。と原口広報委員長は特に扇大臣に強調してきたという。

 記者会見の席上、原口氏は日本の住宅には重層的に諸費用が掛かり過ぎる点を上げている。まず印紙税、登録免許税は廃止する。不動産取得税は軽減する。消費税は課さない。これら徴収第一主義とする財務省の発想は、未だ我が国は主権在民の民主国家ではない証で、国民の代表である政治家の使命感の欠如が等しく官の公僕の欠如となり不祥事を起こす原因ともなる。

 現税制は明治政府以来の「官の論理」の踏襲であり、この発想から「民の論理」に転換しなければならない時局に直面している。閉塞化した社会、硬直化した税制を抜本的に変革しない限り、国民生活の向上は望めない。

 住宅建築は、全ての産業の経済波及効果となり、人々の生活の場、憩、安らぎ、癒しの環境を創造する産業として国家がバックアップする税制を構築する責務がある。

 米国に置いては、好況時は公定歩合も高くローン利子所得控除が有効に作用し、不況で公定歩合が低い時は銀行、不動産業、住宅会社、木材、建材業が政府に住宅減税を要望する。そして政府は「住宅」という内需拡大に最も効果のある政策を現時立法として迅速に対応する。また、恒久減税として住宅ローン利子所得控除制度、住宅投資の売上税が非課税である。
 
 日本は「物」が動くたびに「加税」する発想から「物」が動き易い「人に優しい」税制に改革しなければならない。財源が無い時こそ増税することなく減税する事によって経済を活性化させれば、多年度で税制は中立になるはずである。
 
 重ねて「住環境」からみた日本は、決して豊かな国、先進国ではないことを念頭に長期にわたる住宅税制に改革しなければならない。と述べる。

以上 
掲載メディア
ウッドミック VOL20 2002/11