ヤマ場を迎えた税制改革に提言

生前贈与・非課税枠の拡大で木材需要拡大を
                                               

▲武部議員に要望書を改めて提出する原口広報委員長(左) ▲自民党総務会副会長原田義昭議員(経産省OB)(右)に
要望書を手渡す

 長引く景気低迷による税収減から、政府の外形課税をはじめとする税制改革の検討がヤマ場を迎えている。その中で全国木工機械工業会などの四団体()は、住宅建設が内需拡大のカギとして、武部前農林水産大臣、扇国交大臣、公明党の太田幹事長代理に「内需の柱としての住宅政策の提案」なる要望書を提出、去る十一月には政調筆頭副会長に就任した武部議員に再び要望。この活動のキーパーソンである全木機の原口博光広報委員長(日新興産)は「陳情活動は継続してこそ実を結ぶもの。大局観と志が必要だ」と話す。生前贈与の非課税枠の拡大(現行の五百五十万から三千万円)を中心に話を聞いた。



減税で経済の活性化を

 最近、美智子妃の実家(品川区)の物納が話題となっていたが、悲しい話だ。土地を商品として管理、売却するのは別だが、本来、土地は生活の場のためのもの。その生活空間に大きな税をかけるとは、実に乱暴すぎる。
 多くの土地の相続者は物納か切り売りで対処する。何代にもわたり築きあげる財産は、歴史であり文化である。富が文化になる社会が求められる。しかし、現行の税制では無理な話だ。
 現在の日本経済は輸出企業によって支えられてきた。それに頼れない今、内需の柱を作らなければならない。それが住宅だ。住宅建設は多くの産業に波及効果を及ぼす。建築する資金もある。しかし、残念なことに日本にはモノが動いたら税金をとるという発想が抜け切らない。
 資産が動くことで、その都度、国が税を取るのではなく、動いた結果、税収基盤が拡大安定し、増収につながるという発想が必要だ。
 単年度税収中立は減税した分を増税しなければ成立しない。一方、多年度税収中立という言葉があるが、「中立」という意味を財務省では、減税すれば、その分を多年度(三〜五年)内に増税するという意味で使っている。減税は本質的に国民の経済生活に対し、納税率の負担を低める。それを緩和するために、また減税をする。そうすることで、経済は活性化し結果税収は自然増となる。
これが本来の意味の多年度税制中立というものである。


低迷する業界の現状打破には非課税枠の拡大を

「すべての日本の家族のために良質な住宅と居住環境を提供すること」を目的に、我々は住宅税制の改革を要望してきたが、感触は実に良い。先般、武部議員に会った時も、「住宅産業に振興は」、木材の量的需要拡大につながり・・・・・・住宅という国民すべての”夢の実現”を達成する、国の基盤に関する税制とする認識が大事」(要望書)というくだりに、大変感動をして声を出して読みあげていた。
 木造住宅は日本の気候風土にあった文化そのもの。その”木”に関連する業界は、川上から川下まで窮している。この現状を打破するためにも@生前贈与の非課税枠の拡大A住宅ローン利子所得駆除制度の創設B住宅消費税の廃止―――の確立は急務だ


要望活動を継続する全木機等の4団体
(社)全国木工機械工業会(宮川嘉朗会長)、全国木造住宅機械プレカット協会(齋藤陸郎会長)、 日本機械鋸・刃物工業会(渡邊浩理事長)、全日本木工機械商業組合(前田静正理事長)の四団体で構成。
 
  
 景気拡大のカギは千四百兆円にのぼる眠れる資産を動かすことだ。なかで贈与税、相続税の問題は避けては通れない。
私見だが相続税は十億円、贈与税は一億円まで非課税にすべきだ。
 今回の住宅取得資金の生前贈与・非課税枠の三千万円への拡大は、その第一段階と認識している。
 高度成長期を支えた企業戦士が一生懸命働き、貯めた一千四百兆円。成果主義のもと得たお金を、国が何度にもわたりぜいをかけるのは、「官の論理」。発想を転換し、人に優しい税制を目指さなければならない。

    原口広報委員長
「眠れる1400兆円を動かす仕組み作りが急務」
以上 
掲載メディア
林材新聞 2002/12/13 (金曜日)  発行所 林材新聞社