《展望》

内需の柱としての住宅政策の提案

社団法人 全国木工機械工業会


 (社)全国木工機械工業会では、昨年に引き続き、長引く不況を打破するための解決策のひとつとして、内需拡大の大黒柱である住宅産業の活性化を図り、合わせて木材加工機械の需要拡大にも反映させようと、原口広報委員長が中心となり取りまとめた平成16年度税制改正に関する要望書を、全日本木工機械商業組合、全国木造住宅機械プレカット協会、日本機械鋸・刃物工業会、全国建具組合連合会の5団体連名、昨年9月18日付けにて、武部 勤衆議院議員(自由民主党政務調査会筆頭副会長)、原田義昭衆議院議員(自由民主党総務会副会長)及び太田昭宏洲銀議員(公明党幹事長代行)に提出いたしました。
 その後、衆議院議員総選挙も終わり、平成16年税制改正論議も佳境に入ったことから、この要望書の一部を手直し、先の5団体に(社)日本建材産業協会を加えて6団体連盟で、12月1日付けにて原口広報委員長が代行し改めて武部 勤衆議院議員(議院運営委員会委員長)、原田昭宏衆議院議員(文部科学副大臣)及び太田昭宏衆議院議員(公明党幹事長代行)に直接手渡し、提案に至った経緯と、需要業界をはじめとする木材産業全般を取り巻く厳しい現状について再度詳細に説明しました。
 この要望書では、@現行規模の住宅ローン減税の延長・拡充、A二戸目の住宅取得にも生前贈与の非課税枠、住宅ローン減税の適用、B住宅ローン利子所得控除制度の創設、C買い替えに伴う譲与損失の繰越控除の拡充、D住宅消費税廃止の5項目を「内需の柱としての住宅政策」として提案しました。
 この結果、政府与党において要望書で提案した住宅ローン減税の延長を平成16年度税制改正大綱に盛り込むことができました。
 工業会としては、今後も木材関係業界振興のため、積極的な活動を行っていくことにしております。

●武部 勤衆議院議員(議院運営委員会委員長)
に要望書を手渡す原口博光広報委員長
●原田義昭衆議院議員(文部科学副大臣)
に同
●太田昭宏衆議院議員(公明党幹事長代行)
に同





平成15年12月1日
 議員運営委員会委員長
  衆議院議員
   武  部   勤  殿

 
(社)全国木工機械工業会  
    会 長    宮 川 嘉 朗
全国木工機械商業組合
    理事長    前 田 静 正
全国木造住宅機械プレカット協会
    会 長    斎 藤 陸 郎
日本機械鋸・刃物工業会
    会 長    鈴 木 寛 善
全国建具組合連合会
    会 長    越 後 一 彦
(社)日本建材産業協会
    会 長    瀬 谷 博 道
 


要    望    書


 21世紀は自然との共生(山と海)、子孫から子孫へと住み良い地球を承継する為に、環境整備の見地から公平で生活し易い国民の立場に立った税制のあり方が検討されなければならない。
 「都市と農村漁村が共生・対流」し、都市と田舎の生活が共有出来る時代、「二重生活を享楽できる時代」−(デュアルライフ、アナザーライフ)、併せて「人、もの、情報」が循環する共通の社会基盤(プラットフォーム)の整備が必要である。(武部 勤著・「夢楽づくり維新」より)
 少子・高齢化社会を迎えるに当って、お年寄りと子供が共に暮らす、温もりのある家庭の再構築、それには二世代・三世代住宅、高齢者向け住宅の整備が不可欠で、50年、100年といった長寿命かつ高品質な住宅ストックの形成を目指すべきである。
 環境保全を図るに当たって、省エネ住宅など良質な住宅ストックは産業廃棄物を削減し、高品質な資材が住宅の耐久性を向上させ、産業構造の変革をもたらします。
 高齢化社会の到来は、快適な住宅と一体関係に位置する職場環境も改革しなければなりません。
 定年制度の改革により、退職するか延長するか本人に選択する自由を与え、シルバー世代の経験に培われた知恵の集積を若者に受け継いでいく事によって、ノウハウの断絶や流出を防ぐばかりでなく、日本本来の年長者に対する儒教の精神も養う教育の場ともなります。
 高齢者の目的意識が生甲斐となり、経済を活性化させ、日本を明るく活力とゆとりある社会にします。

 古代より日本は、「木」と「水」の里として、永々と営んでまいりました。
 日々の暮しの中で「木」は憩と癒を私達に与えてくれます。
 林業産業は、住宅産業と一体の関係に位置し、木造住宅・家具・建具は環境問題の見地からも自然の営みに沿った産業であります。
 住宅産業の振興は、木材の量的需要拡大につながり、広範囲の雇用の創出と製造業の空洞化を防ぎます。
 住環境から見た日本は決して豊かな国ではありません。
 平和産業の要として内需拡大と豊かな国民生活を築く事が21世紀の日本の使命と心得ます。
 住宅建築は、木材、建材、家具、セメント、鉄、アルミサッシ、ガラス、金物、厨房・洗面備品、電化製品、インテリア備品等々あらゆる産業にシナジー効果をもたらします。
 都市住宅学会の試算によりますと、住宅は投資1に対して1.495の乗数効果があり、公共投資の1.345より10ポイント以上もシナジーがあります。
 住宅が10万戸増加すれば、26万人の雇用が創出されます。
 現行の住宅減税の様に、景気を一時的に刺激する時限的政策では、国民の購買時期の選択肢を狂わせ、強いては日本経済全般にとっても、足腰の弱い政策となります。
 期間が限定されている面で、控除期間終了後の経済環境に悪影響を及ぼします。
 住宅という国民すべての「夢の実現」を達成する、国の基盤に関する税制とする認識が大事であります。
 『すべての日本の家族のために良質な住宅と居住環境を提供すること』の目標のもと、長期の視点にたった「住宅税制」に改革しなくてはなりません。


 −内需の柱としての住宅政策の提案−

1.現行規模の住宅ローン税制の延長・拡充
 2001年度導入の現行制度は、2003年末までの入居で10年間に最大500万円控除。
 2004年は6年間で最大150万円に減少。
 2005年以降は、制度自体が廃止されます。
 現行の減税規模、約6,000億円が購入者に還元され、新たなる経済活動の資金として、他産業に波及効果をもたらす事になります。
 現時のデフレ経済では住宅投資を活性化させる大規模な住宅ローン税制が内需拡大の柱として経済を支える事になります。
 他産業へのシナジーの大きな住宅産業において、減税規模の縮小は経済全般の縮小をまねく事になります。
 徴収側の発想から脱却し、国民に恩恵をもたらし、経済を活性化させる。
 自然の営みに沿った社会システムの構築が21世紀の税制の基本と考えます。

2.二戸目の住宅取得にも生前贈与の非課税枠、住宅ローン減税の適用
 時間を移動する事によって、もう一つの風土という空間を享受する精神的豊かさが人間性を育み、文化や伝統の調和されたコミュニティーが形成されます。
 都市の生活と田舎の生活を共に手にする事が出来ます。
 世界一の金融資産を動かす仕組作りが閉塞した現時の日本には必要です。
 これは金持優遇税制では決してありません。

3.住宅ローン利子所得控除制度の創設
 恒久税制として、住宅ローン利子の所得控除制度の創設。
 良質で耐久性の高い住宅取得を促すには、借入金額や控除期間を限定することなく、土地・建物にかかる金利を所得控除する制度が必要であります。
 米国で過去80年以上に亘って、この制度は何百万人もの家族に大きな恩恵をもたらしてきました。
 当初、政府関係者は、この制度を導入すると、税収が減少し、予算が足りなくなるのではないかと危惧されていましたが、実際に施行されると、住宅所有者における可処分所得の増加によって、いろいろな家財へと消費は広がり、税収基盤が強化し、経済の活性化に大きく貢献する結果となりました。

4.買い替えに伴う譲渡損失の繰越控除の拡充
 生活環境の変化に伴い、消費者が自由に住み替え・買い替えが可能な譲渡損失繰越控除の改善
 ・現行所有期間用件(過去5年以上所有)を廃止。
   短期の買い換えにも適用する。
 ・売却後、借家、ケアー施設等に入居した場合も適用する。


5.住宅消費税の廃止
 省エネ・バリアフリー・環境配慮等高品質な住宅ほど高額の税がかけられる事になります。
 住宅にかかる消費税について、米国、フランスの非課税、イギリスのゼロ税率と国民の取得時負担を軽減する政策的配慮が欧米先進国ではなされています。
 すべての国民は住宅を生活の場として日々暮らしています。
 税収確保第一主義の微収側の発想から脱却し、国民主権国家として、国民の立場にたった発想の転換こそが、硬直化した税制を改革し、時代の変遷に適合した経済活性化を創出し、税収の増加へとリンクしていきます。

以上、五項目について、ご検討の上、是非実現されん事を要望いたします。
                                                以上

掲 載 誌(※1)

ウッドミック 2004.2 No.251 (発行所 株式会社ウッドミック)

 話題あれこれ
 「住宅税制の改革」で要望書を三者に提出する
  全木機と関連する六団体から


 全国の木工加工機械メーカーで構成する(社)全国木工機会工業会(東京都港区芝公園3-5-8機械振興会館、宮川嘉朗会長、TEL03-3433-6511 )は平成十四年七月二日、武部勤農林水産大臣(当時)に「内需の柱としての住宅政策の提案」 1、生前贈与、非課税枠を三千万円へ。2、住宅ローンの利子所得控除制度の創設。を主題とする内容の要望書を手渡した。(本誌02年8月号既報) 続いて同年九月二六日には前記要望書の内容主旨から主管省庁にあたる扇千景国土交通大臣(当時)に同様要望書を手渡した。
 当時、同主旨に賛同した団体は当工業会と全国木造住宅機械プレカット協会(斎藤陸郎会長)、日本機械鋸・刃物工業会(渡邉浩会長・現在は鈴木寛義理事長)、全日本木工機械商業組合(前田静正理事長)の四団体であった。
 今回表題の「住宅税制の改革」を内容とした要望書は、平成十五年十二月四日に前記の四団体のほか新たに全国建具組合連合会(越後一彦会長)、(社)日本建材産業協会(瀬谷博道会長)の二団体が主旨に賛同して加わり六団体連名で提出となった。
 提出は全国木工機会工業会の原口博光広報委員長が代表して次の各氏に手渡した。
 議院運営委員会委員長
   衆議院議員  武部 勤 氏
 文部科学大臣
   衆議院議員  原田 義昭 氏
 公明党幹事長代行
   衆議院議員  太田 昭宏 氏

 要望書提出に携わった原口氏のコメント

 当要望書の提出が三回目となった経緯について原口博光広報委員長は「前回の生前贈与税枠の拡大が要望通り認められた。今回は六団体の協力があってこそ政治に対して重ねて強く要望ができたわけで、当工業会が主体になった形をとっているが、賛同してくれた五団体に対して特に感謝している。
 昨十二月一日時点で、住宅ローン減税縮小の方向性を財務省が強く打出してきた。住宅関連業界として、この流れを変えなくてはならない。この強い信念から九月二十四日に提出した要望書に「現行規模の住宅ローン減税の延長・拡充」の項目を追加した内容とした。
 今回、提出した十二月四日は自民党総裁選、衆議院選後の時期もあって双方の訪問時間調整の難しさと行動のし易さから私一人が手渡すことになった。今後も機会があれば多くの団体に賛同を得たいと考えている。
 内容については。特にシルバー世代を迎えている今、政治も社会も何をなすべきかの思いが込められているので要望書を是非とも熟読していただきたい」と語る。(全文より一部抜粋)




家具新聞 2004.1.25 第1407号 (発行所 株式会社経済通信)
 政府・与党に住宅政策で再度陳情
  全木機など6団体連名で
  住宅振興・住環境整備求めて


 社団法人全国木工機械工業会(略称=全木機、宮川嘉朗会長)では、かねてから政府・与党に対して内需振興の柱としての住宅政策に対する産業界としての要望・提案を行ってきたが、1月13日、東京・芝の機械振興会館に関係専門紙・誌の記者を招き、昨年末の12月4日に行った3回目の陳情活動の内容について明らかにした。今回は、武部勤議員運営委員長(自民党)に、現行規模の住宅ローン減税の延長・拡充を初めとする要望書を改めて提出するとともに、原田義昭文部科学副大臣、太田昭宏公明党幹事長代行など与党関係議員に陳情を行った(全文より一部抜粋)




住宅資材新聞 2004.1.25 第1706号 (発行所 住宅資材新聞社)
 全建連、建産協も加わり6団体連名で提出
          全 木 機
 住宅税制に関する要望書


 (社)全国木工機械工業会(宮川嘉朗会長)、全日本木工機械商業組合(前田静正理事長)、全国木造住宅機械プレカット協会(斎藤陸郎会長)、日本機械鋸・刃物工業会(鈴木寛善理事長)、全国建具組合連合会(越後一彦会長)、(社)日本建材産業協会(瀬谷博道)の六団体は連名で、さきごろ衆議院議員三氏(議院運営委員会委員長武部勤氏、文部科学副大臣原田義昭氏、公明党幹事長代行太田昭宏氏)に対し、住宅ローン減税の延長・拡充等住宅税制に関する要望書を提出した。要望書提出は一昨年に続き二回目で、今回は多くの関連業界の声を届けようと呼びかけた結果、前回の四団体に、全国建具組合連合会、(社)日本建材産業協会の二団体が加わり六団体となった。要望書は、(社)全国木工機械工業会の原口博光広報委員長が昨年十二月四日、議院会館に議員を訪ね、直接手渡した。(全文より一部抜粋)




日刊木材新聞 2004.1.16 第15077号 (発行所 日刊木材新聞社)
 住宅税制の改革で要望書を提出
  全木機など関連6団体

 全国木工機械工業会など業界関連6団体は、武部勤議員運営委員会委員長ら3議員に、住宅税制の改革を内容とした要望書を提出した。
 要望書を提出したのは、全国木工機会工業会、全日本木工機械商業組合、全国木造住宅機械プレカット協会、日本機械鋸・刃物工業会のほか、新たに全国建具組合連合会と日本建材産業協会の2団体が加わった。要望書の提出は今回で3回目となる。(全文より一部抜粋)




木材工業機械新聞 2004.1.20 1054号 (発行所 株式会社サポート)
 「住宅税制」で要望書
  全木機など6団体
  武部議運委員長など3議員へ


 (社)前国木工機械工業会(宮川嘉朗会長)は、内需拡大の柱である住宅産業の活性化を図り、併せて低迷を続ける木材加工機械の需要拡大を狙って、長期的視点からの「住宅税制」の改革の要望書(別掲)を昨年十二月初に武部勤・衆議院議員の武部勤・議院運営委員長、原田義昭・文部科学副大臣や太田昭宏・公明党幹事長代行の三氏に手渡したことを一月十三日記者発表した。
 住宅税制の改革運動は、全木機の原口博光・広報委員長が中心となって進めているもので今回で三回目の要望書の提出となる。(全文より一部抜粋)




木工機械 2004.1 No.198 (発行所 全国木工機械工業会)
 《展望》
 内需の柱としての住宅政策の提案


 本文は上記に掲載




ホームリビング 2004.2.5 第1237号
 全木機など6団体の住宅政策提案が税制改正に反映
 
 全国木工機械工業会(略称=全木機/東京都港区芝公園三-五-八)をはじめとする六団体は、昨年一二月、平成十六年度税制改革に当たり、住宅政策の提案に関する要望書を、衆議院議員運営委員会の武部勤委員長他、関係先に提出したが、このほど同提言の主旨である住宅ローン減税の延長が、二〇〇四年度税制改正大綱に盛り込まれることになった。
 全木機は同件に関する記者会見を一月十三日に開催。同工業会の雨宮礼一理事は「第一回目、昨年九月の要望書提出時は、四団体であったが、昨年十二月段階では全国建具組合連合会と日本建材産業協会が加わって六団体になり。更に提言内容が強化された。より多くの人々の声を政治家の方々に伝えることができたと考えている」と語るとともに、「最終的には、住宅ローン利子所得控除制度の創設が目標。今後、さらに各団体の要望をそれぞれ整理し、相互協力のもとに、より有利な展開を図りたい」と述べた。(全文より一部抜粋)




林材新聞 2004.1.30 第14942号 (発行所 林材新聞社)
 全木機など6団体
 「住宅税制」
 改革を要望


 (社)全国木工機械工業会(宮川嘉朗会長)をはじめとする業界関連6団体は先ごろ、衆議院議員の武部勤議員運営委員会委員長、原田義昭文部科学副大臣、太田昭宏公明党幹事長代行の三氏に「内需の柱としての住宅政策の提案」なる要望書を提出。「すべての日本の家族のために良質な住宅と移住環境」をメインに、長期の視点にたった住宅税制改革を訴えた。要望書の提出は今回で三回目。(全文より一部抜粋)


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