(社)全国木工機械工業会が中川昭一経済産業大臣他関係国会議員に「要望書」を手渡す



▲太田議員のバックアップで自民党衆議院議員の中川昭一氏経済産業大臣へも直接「要望書」を手渡し、「十分対応する」との言葉が得られた ▲(社)全国木工機械工業会の宮川嘉朗会長から自民党衆議院議員の武部勤議員運営委員会委員長へ「要望書」を手渡す。左から全木機の原口博光広報委員長、同・宮川会長、武部議員、全木機の廣田哲夫副会長、同・宮内孝一専務理事
自民党の原田義昭衆議院議員へ「要望書」を手渡す ▲公明党衆議院議員の太田昭宏幹事長代行へ「要望書」を手渡す

(社)全国木工機械工業会が
中川昭一経済産業大臣
他関係国会議員に「要望書」を手渡す


セーフティネットの弾力的運用と保証制度拡充に向け、
家具等木材産業関連の八団体連名で!

 (社)全国木工機械工業会(東京都港区芝公園三ノ五ノ八、宮川嘉朗会長、電話03−3433−6511)はこのほど、全日本木工機械商業組合(前田静正理事長)、全国木造住宅プレカット協会(齋藤陸郎会長)、日本機械鋸・刃物工業会(鈴木寛善理事長)、全国建具組合連合会(越後一彦会長)、東京都家具工業組合(土居清理事長)、(社)国際家具産業振興会(小菅康正会長)、(社)全国家具工業連合会(長原實会長)と共に、関連八団体連名による「セーフティネット保証制度の弾力的運用及び保証制度の拡充」の四月一日付要望書を、議院運営委員会委員長の武部勤衆議院議員、公明党幹事長代行の太田昭宏衆議院議員、原田義昭衆議院議員、並びに経済産業大臣の中川昭一衆議院議員の四氏へ六月一日に直接手渡した事を、集まった報道関係者に発表した。

 またその折の陳情に対し、各議院からは木工関連産業については対応を検討する旨確認を得ると共に、特に中川大臣は同席した担当職員に対し「十分に対応するよう」との指示を、その場ですみやかに行なった事実も明らかにした。

 六月八日午後、全国木工機械工業会(以下、全木機)のある機械振興会館ビル地下会議室で木材関連報道誌紙を集めての記者発表会が行なわれ、全木機からは広報委員長の原口博光理事、宮内孝一専務理事、雨宮礼一理事の三氏が臨席して要望書提出について説明した。

 原口広報委員長によれば、全木機としては昨年から今年に掛けて二回に亘り住宅税制に関する要望書を国会議員に提出し成果を挙げているが、それに続く今回は、低迷の著しい木工機械及び木工関連産業へのセーフティネット保証における弾力的な運用と中小企業再生へ向けた保証制度の拡充に対し要望書の提出・陳情に踏み切ったという。

 全木機では既に「中小企業信用保険法第2条第3項第五号に係わるセーフティネット保証制度の適正な運用のお願い」と題する三月一日付け要望書を所轄の国会議員に提出していたが、特に再度、全木機担当の経済産業省への働きかけを主眼においた四月一日付け要望書「セーフティネット保証制度の弾力的運用及び保証制度の拡充」を六月一日に提出したという。

 中小企業信用保険法2条3項第5号に係わるセーフティネット保証制度とは、「主要な原材料等の供給の著しい減少、需要の著しい減少等が生じていることにより当該事業を行う中小企業者の相当部分の事業活動に著しい支障を生じている業種については、中小企業信用保険法第2条第3項第5号の規定に基づく特定業種として、通常、四半期毎に指定を行っており、指定された業を含む中小企業者は、売上高等の減少につき市町村長の認定をうけることにより、金融機関から借入を行う際に信用保証協会の特例保証(別枠保証
等)の対照となる。」というもので、この保証限度額の別枠化によって普通保証で二億円、無担保保証で八〇〇〇〇万円、無担保保証保証人保証では一二五〇万円が別枠保証されている。

 中小企業信用保険法2条3項第5号では、全国的に業況の悪化している業種に属する中小企業者を支援するための措置として「指定業種に属する事業を行っており、最近三ヶ月間の平均売上高等が前年同期比マイナス一〇%以上」(平成一四年三月一八日よりマイナス五%以上で運用)の中小企業者を対象として一一七もの指定業種を指定し、その中には木材加工機械製造業、木製家具製造業(漆塗りを除く)、宗教用具製造業、手引きのこぎり・のこ刃製造業(卸売業を含む)、銘木・銘板製造業、機械器具小売業等の木工関連産業も特定業種に入っている。

 ところが信用保証協会は、金融庁の大企業向け査定、マニアル(スコアリングモデル)によって、中小企業者の保証審査を行っているため、中小企業者の大半が保証外となり、融資が必要な中小企業者は金融機関から二.五〜一〇%超の金利付融資を受けざるを得ないという問題が生じていて、これでは中小企業を支援する目的で制定・施工されているはずの中小企業信用保険法が、現状、十分機能していないことになる。

 当然、セーフティネット保証認定を受けたにも拘らず、実際には保証が受けられないという死活問題も発生しており、政府に対し強く改善が望まれている。こうした背景の下、今回、中小企業者の立場、それも木工産業界の有力団体が団結し、全木機が代表して要望書提出となったという経緯であるが、中川経済産業大臣はじめ武部議員、原田議員、太田議員と有力国会議員による「よく検討する」旨の回答を得られた事で、今後、セーフティネット保障制度の弾力的運用について少しく期待されている。

 ちなみに、保証制度の拡充に対しては「特別保証制度」の復活を要望しているが、これについては不良債権の問題があり現時点では考えられないとの回答も。いずれにしても、木工加工機械製造業種としては合板機械、在来軸組機械プレカットを除き、木工機械生産の著しい減少に見舞われている事から、緊急な支援が必要とされている。当局は、滅び行く産業には金は出せないとの姿勢の様であるが、木工産業が地球環境問題改善への一翼を担っている産業分野である事は無視し得ない事実であり、また木工関連団体が一丸となっての要望書提出は関係者にとって大きなインパクトになったに違いない。今後、さらなる連続的な働きかけが必要であろう。


平成一六年四月一日付「要望書」の内容
セーフティネット保証制度の弾力的運用及び保証制度の拡充


▲家具等木工関連八団体連名でセーフティネットの弾力的運用と保証制度拡充の要望書を関係する国会議員、担当大臣に手渡したと業界誌紙記者らに発表する全木機の原口博光広報委員長(左)、宮内孝一専務理事(中)、雨宮礼一理事(右)


一、セフティネット保証制度の弾力的運用

 昨今の日本経済の状況を見ると、株価の上昇や企業収益の回復など少しずつ景気回復の兆しが見られるものの、中小企業をめぐる金融経済情勢は依然として厳しいものがあります。特に、地価の下落による担保力の低下や、金融庁を中心とした不良債権処理が進められる中、中小企業者は金融機関から円滑に借入が得られないなどの困難に直面しております。政府としてもこのような状況に対して、速やかに対応を図るべきであると考えます。

 特に、経済産業省の所轄の下で行われている「セーフティネット保証制度」は、資金繰り難に陥っている中小企業者を救済するための重要な制度であります。日本経済の屋台骨である中小企業に活力を与え、日本経済を根本から立て直すためにも、まさに政府の施策の中でも最重要課題として推進すべき政策であると考えます。

 然るに、実際の保証の現場においては、セーフティネット保証の認定を受けたにも拘らず、保証が受けられないという中小企業者が数多く見られます。せっかくの素晴らしい制度も、現場で中小企業者に利用されなければ単なる画餅でしかなく、全く意味がありません。

 ”セーフティネット”としての政策の本来の趣旨に則り、資金繰りで苦しんでいる中小企業者を支援するためにセーフティネット保証制度がこれまで以上に積極的に運用されるよう、保証協会に対して徹底していただくよう要望いたします。

二、保証制度の拡充

 平成一二年、一三年、一四年と三年続いた一万九〇〇〇戸の倒産件数も、平成一五年には一万六〇〇〇戸と減少しております。平成一六年は、生き残った中小企業者の再生に向けて、保証制度の拡充が不可欠であります。
 上記のように、中小企業者をめぐる金融経済情勢が依然として厳しい中、新たな保証制度を創設し、中小企業者を積極的に支援することが必要になっています。具体的には、かつて未曾有の金融危機の際に実施された「特別保証制度」を復活させ、昨今の中小企業者の資金繰りをより踏み込んで支援することが必要ではないかと考えています。

 以上、ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。




ちょっとインタビュー

木工機械は技術革新を図り、
海外を目指せ!(社)全国木工機械工業会
広報委員長の原口博光理事に聞く


本誌−
 今回、木工関連八団体が連名して「セーフティネット保証制度の弾力的運用及び保証制度の拡充」の要望書を提出」されましたが・・・。

原口広報委員長−
 昨今、景気の幅がここ三ヶ月の成長率が五.五%、年間換算でも三.四%位に上向いている。これは、デジタル家電関係の伸びに加え、中国への素材備品(鋼材等)、機械、工作機械や石油をはじめ機械の輸出がかなりの規模になっているからだと思う。ところが、そういう背景がありながら合板機械を除く広義の内需関連木工機械は依然として低迷を続けている。大半の中小企業はセーフティネットの許可されている業者が多いにも拘らず上手く機能していないという話をよく聞く。景気の低迷の中で、我々にとって一番大事なセーフティネットが機能していないのは死活問題だ。そこで機能しない原因を昨年九月頃からした結果、今回の要望書の提出に至った。

本誌−
 どこに落とし穴があったのでしょう。

原口広報委員長−
 現在の経済情勢の中で、保証協会は大企業向け査定マニュアル(スコアリングモデル)により、中小企業者の査定を行っている。これは、かなり厳しい。特定業種指定を受けていても実際には保証制度の下でお金が借りられない。つまり制度が機能していないという事だ。今は中小企業向けモデルも整備されているが、これとてかなり厳しい内容である。これではいけないと今回、「中小企業全体に対して保証制度の見直しをお願いしたい」と家具・建具の団体にも参加していただき要望書を持って議員の先生方へ陳情した。木工業界からこれだけ多く結集してきたことでは注目されたと思う。

本誌−
 巷では、木工産業は滅び行く業種であるとの意見も聞かれますが、これは著しい認識不足だと思いますね。

原口広報委員長−
 内需の柱である住宅産業が低迷している状況下で、木工産業は深刻な経済環境にある。激動する市場で、自助努力の及ばない環境という問題だ。大上段に構えれば、我々木工産業は地球環境保全に対し寄与する産業であるとの位置付けと認識は当然あるが、足下を見ると業界の体質改善、構造改革を怠って来た現実がある。ドイツやイタリアと同じく木工産業が自国の経済発展に貢献して来たにも拘らず、今や低迷の一途を辿っている。それに伴い全国木工機械工業会も会員が急減しているが、これに歯止めを掛け、会員の生産高が向上しなければ本当に滅び行く業種になってしまう

本誌−
 それに対し、何か考えがありますか。

原口広報委員長−
 あくまで個人的な見解であるが、これだけ業界が低迷している時だけに、例えば日本で開催される公式の木工機械展なども木工産業全体に如何に貢献できるかという視点で開催されるべきと考えている。個々の企業、或いはグループが地方で個展を開くことは企業の活性化に繋がることなので、自己負担でどんどんやれば良いと思うが、公式の展示会はこれまでのように東京、名古屋、大阪の三つも必要かどうか疑問だ。
 戦後の産業再編成を大局的見地から指導してきた経済産業省サイドからも、木工機会業界が縮小の一途をたどっている時に従来通りの三つの展示会開催は如何なものかとの意見が出ている。また、日本の木工機械も技術革新を進めて他の産業のように輸出型に転換すべきとのサゼッションも頂いている。やはりそう成らなければならないと痛感している。それには、これまでのような慣行的発想で個々バラバラに展示会を開催するのではなく、業界の全体的な発展と個々の企業が取り組む技術革新に寄与できるようなイベントを展開すべき大変革期にあると思っている。
 その一歩として、このほど全国木工機械工業会の中に展示会委員会が発足した。これ以上の業界の低迷を防ぎ、木工産業が復活を遂げる為に、工業会が主体となって動くべき時期に来ていると思う。工業会も会員メリットが確になれば増加も見込めよう。私は、広報委員長であるが、廣田哲夫展示会委員長とも強力して目標に向かって進んでいくつもりだ。

本誌−
 有り難うございました。