『 要 望 書 』 提 出



内需の柱として住宅政策の提案
業界13団体連名で!!
 平成14年から毎年、長引く不況を打破するための解決策のひとつとして、内需拡大の大黒柱である住宅産業の活性化を図り、合わせて木材加工機械の需要拡大にも反映させようと、(社)全国木工機械工業会の原口広報委員長が中心となり取りまとめた「内需の柱としての住宅政策の提案」を、税制改正の関する要望書として提出しております。

 平成19年年度税制改正に関する要望書を、(社)全国木工機械工業会(会長 宮川嘉朗)、全国木造住宅機械プレカット協会(会長 齊藤睦郎)、日本機械鋸・刃物工業会(理事長 鈴木寛善)、全国建具組合連合会(会長 上中節彦)、東京都家具工業組合(理事長 土井清)、(社)日本建材・住宅設備産業協会(会長 吉田忠裕)、(社)全国家具工業連合会(会長 長原 實)、(社)国際家具産業振興会(会長 小菅康正)、(社)全国木材組合連合会(会長 庄司橙太郎)、日本合板工業組合連合会(会長 井上篤博)、日本集成材工業協同組合(理事長 細田安治)、日本繊維板工業会(会長 井邉博行)と当組合の13団体連名で、平成18年12月19日に、宮川会長、廣田副会長、原口広報委員長、宮内専務理事、平野副理事長(全日本木工機械商業組合)細田理事長(日本集成材工業協同組合)ら6名が、冬柴鐵三国土交通大臣(衆議院議員)、武部勤自民党前幹事長(衆議院議員)、太田昭宏公明党代表(衆議院議員)、原田義昭衆議院議院運営委員会筆頭副理事を個別の訪れ、要望書を直接手渡すとともに今回の要望に至った経緯と、需要業界をはじめとする木材産業全般の窮状について説明した。

この要望書では、住宅消費税の廃止 A住宅ローン利子所得控除制度の創設 B不動産の登録免許税、不動産所得税の軽減措置の延長、恒久税化 C新耐震以前の住宅の建替え・耐震改修工事を促進する優遇措置の創設 D買い換えに伴う譲渡損失の繰越控除の拡充 E二戸目の住宅取得にも生前贈与の非課税枠適用の六項目を「内需の柱としての住宅政策」として提案しました。



冬柴鐵三国土交通大臣(12月19日) 武部勤自民党幹事長(同)
冬柴鐵三国土交通大臣(12月19日) 武部勤自民党幹事長(同)
太田昭宏公明党代表(同) 原田義昭衆議院議院運営委員会筆頭副理事(同)
太田昭宏公明党代表(同) 原田義昭衆議院議院運営委員会筆頭副理事(同)


要望書





要   望   書



「美しい国、日本」の再構築に向けて

 2006年9月26日、第90代内閣総理大臣に安部晋三氏が選出されました。
 時を一にして、公明党代表に太田昭宏氏が就任し、与党の新党首が揃って誕生、新しい国づくりに向けてスタートしました。
 「官から民へ」を標榜し、実行した小泉内閣の行政改革、民営化によって、財政投融資を消滅させ、小泉構造改革は成果を上げました。
 旧体制は除々に崩壊し、「簡素で効率的な政府」へ歩を進め、政策形成過程に於いて「政・官・学・経」の有機的連携を以って、行政主導の政治に埋没する事なく、P・D・C・A(計画・行動・点検・改善)のシステムを確立する統治へと民の意向に主題が置かれ始めました。

 グローバル化によって平成11年金融庁が作成した査定マニュアル(スコアリングモデル)の基、銀行に企業の保証審査基準を指導しました。
 日本経済に於いて金融機関の役割は産業育成の見地から個々の企業の選別を現場に根ざした情報収集により融資を行い、企業を補完し、共に発展してまいりました。 
 しかしながら、この制度の導入により、我が国独自の伝統に培われた企業文化の多くが市場から葬られました。
 企業の社会的責任(CSR)社会的有用性無形の資産はスコアリングモデルでは評価できません。
 この制度の弾力的、柔軟な運用と再チャレンジ推進施策の実行が望まれます。
 「中小企業政策」は日本独自の汗と血の文化の礎です。
 画一化する社会にあって「弱者への愛情」、「滋愛」、「誠実」「正義」、「忍耐」、「測隠」等々日本人が古来から美徳としてきた「普遍的価値」をまず第一に「家庭」に取り戻しましょう。
 「家族愛」「郷土愛」「祖国愛」、が「美しい国、日本」の風土になるのではないでしょうか。
 「教育崩壊」も「家庭」と「学校」が一体に成って取組む問題だと思います。
 そして、その底流にあるのは日本人の「卑怯を憎む心」「恥」を知る精神構造にあるのです。


失われた10年からの脱出に当って

 2005年は1998年7月から下落した景気がマイナスから脱したことで、所得税と個人住民税の定率減税を2007年には全廃する方針が打ち出された。
 景気回復は民間部門のコスト削減、不良債権整理などのリストラによる企業体質の改善に基づく利潤の増加であり、技術革新による生産性向上を持続させる端緒を見出したに過ぎない。
 郵政改革が象徴するが如く「官から民へ」の資産移動の第一歩が始まったばかりであり、非効率的な政府部門の改革が多々あり「市場化テスト法」の制定が急がれる。
 財政再建という大儀の下に国民の減税措置を整理・縮小するに当たって、それ以前に歳出削減により財政健全化は徹底させなければならない。
 現時点の財政収支の改善を経済成長率を押上げる観点から為されなければ再建が阻害される要素に成りうるであろう。  増税が連続的に実施されれば失われた10年が生かされる事なく、国民生活を圧迫し、活力ある日本に向けてスタートラインについた矢先に失速する危惧さえある。
 税制改革は直間比率の見直しが必要であり、消費税率引き上げは生鮮食品の0〜3%の軽減税率、子育て減税や住宅消費税の撤廃を併せて行わなければG・D・Pは大幅に縮小する事になるであろう。
 社会保障費の目的税化もその範囲によっては、社会保障費の歳出削減を硬直化させる虞もあるであろう。
 社会保障と密接に関係する高齢者の定義は国連が約50年前に提唱した時代から、10歳以上平均寿命も長くなっている。
 2050年の高齢者割合(65歳以上)は39%、75歳以上に換算すると23.5%に下がる。(国立社会保障・人口問題研究所)。
 元気で意欲あるシルバー世代を「壮年」と位置付け、その知恵の集積が社会活性化に貢献できるオールラウンドの社会構成が望まれる。


住宅及び住環境の社会インフラ整備

 我国にとって、2004年の大型台風による広範囲におよぶ河川の増水・氾濫と土砂災害は過去に例を見ないほど甚大にして壊滅的であった。
そして、同10月、日本列島を縦断した台風に前後して、震度7の地震が新潟中越地方に発生した。
 社会資本の整備は台風、地震国として、国民の安全性、防災性・耐震性の見地から税制の優遇があってしかるべきである。
 新耐震基準以前に建築された住宅の建替え・リフォーム等の促進や2002年8月からスタートした住宅性能表示制度の充実・普及によって、耐震・耐火・耐久・省エネ性の住宅建設促進が徹底されなければならない。
 阪神・淡路大震災、新潟中越地震の倒壊住宅は新耐震基準以前に建設されたもので、住宅ストックの約1/2・2,100万戸(平成10年住宅・土地統計調査)が安全で安心な住宅および住環境の社会インフラの整備として国家的課題であろう。
 住宅関係予算総額のGDPに占める比率は、イギリス1.48%、フランス0.7%、アメリカ0.34%、ドイツ0.22%、日本0.18%と先進諸国中日本が最も低い。良質な住宅ストックを有する欧米諸国に於いても、住宅政策に重点が置かれている。
 財政再建の大儀の下に、国民にとって生活の基盤を成す「住宅」政策が軽減されるような事があってはならない。
 我国の人口増加率は0.11%と先進諸国と比較しても最も低く、出生率の低下スピードが速く、現在の年金制度、勤労者世代と高齢者世代のバランスは完全に崩壊している。
 少子・高齢化時代を迎えるに当って、現在15才以上65才未満の生産年齢人口を70才未満とする新しい雇用体系に移行し、年金支給年度を65才に引上げ、シニアの社会的役割の増大を図らなければならない。
 子育て支援、労働観(フリーター)、家族観、人生観に果たすシニア世代の役割は重要である。


少子・高齢化社会到来

 21世紀は自然との共生(山と海)、子孫から子孫へと住み良い地球を承継する為に、環境整備の見地から公平で生活し易い国民の立場に立った税制のあり方が検討されなければならない。
 少子・高齢化社会を迎えるに当って、お年寄りと子供が共に暮らす、温もりのある家庭の再構築、それに二世代・三世代住宅、高齢者向け住宅の整備が不可欠で、50年、100年といった長寿命かつ高品質な住宅ストックの形成を目指すべきである。
 環境保全を図るに当って、省エネ住宅などの良質な住宅ストックは産業廃棄物を削減し、高品質な資材が住宅の耐久性を向上させ、産業構造の変革ををもたらします。
 高齢化社会の到来は快適な住宅と一体関係に位置する職場環境を改革しなければなりません。
 定年制度の改革により、退職するか延長するか本人に選択する自由を与え、シルバー世代の経験に培われた知恵の集積を若者に受け継いでいく事によって、ノウハウの断絶や流出を防ぐばかりでなく、日本本来の年長者に対する儒教の精神を養う教育の場ともなります。
 高齢者の目的意識が生甲斐となり、経済を活性化させ、日本を明るく活力とゆとりある社会にします。


国の基盤に関する税制

 古代より日本は「木」と「水」の里として、永々と営んでまいりました。
 日々の暮らしの中で「木」は憩を私達に与えてくれます。
 林業産業は、住宅産業と一体の関係に位置し、木造住宅・家具・建具は環境問題の見地からも自然の営みに沿った産業であります。
 住宅産業の振興は、木材の量的需要拡大につながり、広範囲の雇用の創出とで遺贈業者の空洞化を防ぎます。
 住環境から見た日本は決して豊かな国ではありません。
 平和産業の要として内需拡大と豊かな国民生活を築く事が21世紀の日本の使命と心得ます。
 住宅建築は、木材、建材、家具、セメント、鉄、アルミサッシ、ガラス、金物、厨房・洗面備品、電化製品、インテリア備品等々あらゆる産業にシナジー効果をもたらします。
 都市住宅学会の試算によりますと、住宅は投資1に対して1.495の乗数効果があり、公共投資の1.345より10ポイント以上もシナジーがあります。
 住宅が10万戸増加すれば、26万人の雇用が創出されます。
 現行の住宅減税の様に、景気を一時的に刺激すれ時限的政策では、国民の購買時期の選択肢を狂わせ、強いては日本経済全般にとっても、足腰の弱い政策となります。
 期間が限定されている面で、控除期間終了後の経済環境に悪影響を及ぼします。
 住宅という国民すべての「夢の実現」を達成する、国の基盤に関する税制とする認識が大事であります。
 『すべての日本の家族のために良質な住宅と居住環境を提供すること』の目標のもと、長期の視点にたった「住宅税制」に改革しなくてはなりません。



                                                            
−内需の柱としての住宅政策の提案ー

1. 住宅消費税の廃止
 時限立法としての住宅ローン減税は「駆け込み需要」として景気対策に大きな効果をもたらします。
 しかしながら、控除適用期間終了後の経済環境に及ぼす悪影響はその比ではありません。
 期間が限定されている面から、国民の購買時期の選択肢も狂わせ、経済全般にとって、雇用不安、不況、倒産を引き起こします。
 又、税の公平の見地からも考察されなければなりません。 年金負担は企業・家計の双方にとって、今後企業活力や社会エネルギーを奪うことになります。
 2007年は活力ある日本を取り戻す本来の意味での正念場を迎える事になります。
 全ての国民は住宅を生活の場として日々暮らしてあり、耐震・耐火・耐久・省エネ・バリアフリー・環境配慮等高品質な住宅ほど高額の税がかけられる事になります。
 税収確保第一主義の微収側の発想から脱却し、国民主権国家として、国民の立場にたった発想の転換が今こそ必要です。
 住宅にかかる消費税について、米国、フランスの非課税、イギリスのゼロ税率と国民の取得時負担を軽減する政策的配慮が欧米先進国ではなされています。
 硬直化した税制を改革し、時代の変遷に適合した経済の活性化を創出する社会システムの構築が21世紀の税制の基本と考えます。

2. 住宅ローン利子所得控除制度の創設
 垣久税制として、住宅ローン利子の所得控除制度の創設。
 良質で耐久性の高い住宅取得を促すには、借入金額や控除期間を限定することなく、土地・建物にかかる金利を所得控除する制度が必要であります。
 米国で過去80年以上に亘って、この制度は何百万人もの家族に大きな恩恵をもたらしてきました。
 当初、政府関係者は、この制度を導入すると、税収が減少し、予算が足りなくなるのではないかと危惧されていましたが、実際に施行されると、住宅所有者における可処分所得の増加によって、いろいろな家財へと消費は広がり、税収基盤が強化し、経済の活性化に大きく貢献する結果となりました。

3. 不動産の登録免許税、不動産取得税の軽減措置の延長、垣久税化

4. 新耐震以前の住宅の建替え・耐震改修工事を促進する優遇措置の創設

5. 買い換えに伴う譲渡損失の繰越控除の拡充
  生活環境の変化に伴い、消費者が自由に住み替え・買い替えが可能な譲渡損失繰越控除の改善。
@現行所有期間要件(過去5年以上所有)を廃止 短期の買い換えにも適用する。
A売却後、借家、ケアー施設等に入居した場合も適用する。

6. 買い替えに伴う譲渡所得の課税軽減

7. 住み替えに伴う残存住宅ローン繰越控除

8. 二戸目の住宅取得にも生前贈与の非課税枠適用
 時間を移動する事によって、もう一つの風土という空間を享受する精神的豊かさが人間性を育み、文化や伝統の調和されたコミュニティーが形成されます。
 都市の生活と田舎の生活を共に手にする事が出来ます。
 世界一の金融資産を動かす仕組作りが閉塞した現時の日本には必要です。
 これは金持優遇税制では決してありません。

9. 機械設備の耐用年数の短縮
 技術革新の進歩に適した生産効率の向上を図る上で、先進国並の7年に短縮する。

10. 減価償却制度の根本的見直し
 機械設備の全額償却

11. 法人の負担軽減
 グローバル化によるメガコンペチションの時代にあって、国際競争力の観点から、法人税を30%に減税して、成長力を強力にし、財政健全化を図る。

 以上、十一項目について、ご検討の上、是非実現されん事を要望いたします。
以上