要 望 書 農林水産所轄


―内需の柱としての住宅政策の提案及び
林業・木材関連産業政策の提案-
(平成22年度要望)

 アメリカ発金融システムの崩壊により、実体経済の大幅な減少によって外需依存型産業に 基盤をおく日本の経済体制は内需主導型へとチェンジする潮目にかかっています。

 このことは、内需の柱である住宅政策が経済活性化に大きな役割を担わなくてはならな いことを意味している。

『すべての日本の家族のために良質な住宅と居住環境を提供すること』の目標のもと、 長期の視点にたった「住宅税制」に改革するとともに、各種の住宅建設の促進対策を早急に 実施しなくてはなりません。大幅に低迷し続ける住宅建設の影響により木材及び木材関連 産業の経営危機はますます深刻になっております。

 低炭素社会への円滑な移行が国の重要政策となっている中で、国産材の利用促進による 地球温暖化防止及び地域経済の活性化による雇用の安定・増大のため、我が国林業・木材 産業関連の長期的、持続的発展という新たな観点から以下の対策を要望致しますので、宜 しくご高配の程お願い申し上げます。





《農林水産所轄》
Ⅰ.林業・木材関連産業政策

 地球温暖化防止(CO2排出削減)を進めていく上で、炭素固定に資する木材利用を推進す るための助成制度の創設があってしかるべきであります。

 木材は重量の半分が炭素で、燃えるか、腐朽しない限り炭酸ガス(CO2)は発生しません。

 つまり、この木材の特徴を利用している木材・木材関連製品(製材・合板・集成材・木 質ボード、木製家具、建具等)は常に炭素を保有し、商品としてある限り、炭酸ガスを放 出しない。

 木造住宅・建物はあらゆる木材、木材関連製品の集合体である。

 最近行われたLCA(ライフサイクル評価)では、木造、鉄骨造、コンクリート造の住宅の環境に対する影響を比較し、材料の生産と建設において、鉄骨造の場合は26%、コン クリート造の場含は31%も、木造に比べて温室効果ガスの排出量が多いと報告されていま す。

 森林経営活動による吸収源対策として、森林整備・保全の推進が必要である事は論を持 たない。

  健全な森林が健全な河川を維持し、豊穣の海を育む。

 このサイクルが日本の直面しているCO2排出削減と食の安全・自給率向上に貢献する事 になります。


  1. 環境配慮木造住宅部材加工の効率的な製造設備の整備・廃棄・新設への助成制度の創設

     耐震・耐火・耐久・防災・安全の長期優良住宅の建設促進のため、木造枠組壁工法部材加工工場(コンポーネント工場)及び軸組工法(在来工法のプレカット工場)の製造設備の整備・新設等(等には、設備廃棄を含む)に対する助成制度を強化・拡充し、補助率を1/2とする。

     CO2排出25%削減の達成と内需拡大による雇用創出を国是とするのであれば、長期優良住宅・建物の振興を図るに当って、国産材、輸入材に関わらず、その基盤整備として、木材産業の国内製造・加工設備機械の一層のコンピューター化を推進し、製造・加工の国内回帰を図る内需拡大策の抜本的取組が不可欠であります。また、そのための既存設備の廃棄のための補助制度も不可欠であります。



  2. 公共建築物の木造化の一層の推進

    (1) 学校、体育館等の整備における木造の一層の推進。
    (2) 警察署、派出所などの木造化の推進。
    (3) 特養老人施設など福祉施設の木造化の推進。
    (4) 国産材を活用した型枠用合板の開発、普及事業の新設。


  3. 森林バイオマスの利用について

     森林バイオマスの利用は、森林を整備する(年間55万haの間伐を6年間実施、即ち330万haの間伐の実施を含む、林地残材の活用を計る)ことにより、森林のCO2吸収能力を高め、もって京都議定書で約束した6.0%の内の3.8%のCO2吸収を計る。また、林地に放置された、林地残材を適正に処理し、国土保全に資するものであります。その目的を達成するためには、単年度ではなく、中期的展望のもとに補助金等を適切に配していかなければなりません。

     林地残材は、製材(A材)や合板(B材)に活用されない残りのもの(C材といわれる) で、現在林地残材は、チップ化し、製紙用チップ、繊維板チップ、燃料ペレットという形(いずれも余り多くないが)で利用されているし、補助金(それぞれの利用という垂 直形で)も出ています。その補助金を、C材の活用ということで統一し、 A材、 B材と 共に出荷されたC材を、チップのグレードに応じた活用方法に変える。即ち、得られた チップは、高グレードものは、製紙用チップに、低グレードのものは、繊維板やペレットに活用する。そうすれば、活用の範囲が広まり、利用が促進、コストダウンが行え、事業の実施が促進されます。

     更に、補助金を単年度のものにせず、中期的(なくとも京都議定書の第2約束期間の開始時期2013年までは)に考え補助金を付ける。(単年度であれば、4月から6月ぐら いは補助金が付かず、補助金を受けた企業体はその間、自前で事業を継続せねばならな い。)

     2013年あたりまで、補助金を付ければ、それぞれの企業体と山元は合理化を行い林地 残材事業は円滑に回り出す。


  4. 地球温暖化防止(CO2削減)製品・業種への優遇税制の創設

    ―炭素固定に資する木材利用を推進するための税制上の措置を講ずること―

     地球温暖化防止を進めていく上で、森林経営活動による吸収源対策として、森林整備・保全の推進が強く求められています。

    木材は重量の半分が炭素で、燃えるか、腐朽しない限り炭酸ガス(CO2)は、発生 しません。

     この木材の特徴を利用している木材・木材関連製品(製材、合板、集成材、木質ボー ド、木製家具、建具等)は常に炭素を保有し、商品としてある限りは、炭酸ガスを放出しない。これらの製品の中には廃棄された木材をリサイクルし、再度商品化されたものも含まれる。このような地球温暖化防止に貢献している商晶を製造している業種に対して税制優遇を要望します。


  5. 法人の負担軽減

    グローバル化によるメガコンペチションの時代にあって、国際競争力の観点からも法人税の恒久的な軽減を要望します。



  6. 国家の重要資材である国産材丸太及び木材製品の安定的供給体制の確立のための制度の拡充・創設

    (1) 国産材丸太の輸送コストへの助成制度の恒久化。
    (2) 丸太及び木材製品の在庫の急増が林業・木材産業の経営を急速に悪化させており、需要に対応した丸太及び木材製品の流通在庫の適量化への助成制度の創設。
     (国産材の活用促進のための丸太、製品在庫コストへの助成、災害復旧等のための国家備蓄等)


  7. 国産材への原料転換促進のための製造設備の廃棄への助成制度の創設

    国産材の活用による持続可能な木材産業発展のため、既存設備の廃棄のための新たな補助制度の創設
     (機械撤去経費等への補助)。


  8. 雇用調整助成金制度の拡充

    (1) 現行の一人1日当たり、雇用保険基本手当日額を限度としている支給額の大幅増額。
    (2) 3年間で300日という支給要件の緩和。



    以上、八項目について、ご検討の上、是非実現されん事を要望いたします。
以上
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