≪ユーザーの声≫
北海道のツーバイ工法のパネル工場

㈱イワクラ ツーバイフォーバネル・トラス工場
工場長
 竹中 邦彦
 弊社は大正2年に山林事業からスタートし、現在96周年を迎えております。
その間、製材工場や合板工場、パーティクルボード(商晶名:ホモゲン)工場など木に関する事業の幅を広げ、経済市況の移り変わりの中で淘汰されたものや分社化されたものなどあり、現在は山林事業、ホモゲン事業、住宅資材及び部材加工事業の3本柱を中心に事業が展開されております。

 当、ツーバイフォーパネル・トラス工場もその社歴の中で製材工場の行く先を見据え、より川下化の事業展開ということも含めてそれまで小規模で行われてきたツーバイランバーを図面より木拾いして現場に納めるといったアッセンブル作業を本格的な事業とするべく、平成3年に現在の工場を建設し、壁、床などをパネル製品化し、屋根の骨組みをトラス製品化する機械を導入しました。

 工場スタート当時は工場の中の機械の上で効率よくバネル製作することを重点に置き、材料選別機やカット寸法精度の優れたカットソー、パネル製作作業をより効率よくできるフレーミングマシン・釘打ち機などを備えたパネルラインを機械屋さん(日新興産㈱)の知識を頂きながら導入し、また、国内でも一部でしか知られていなかったネイルプレートを使った木質トラス(ギャングネイルトラスシステム)も導入し、家の構造躯体に関するトータル的なパネル化を実現し、年間430棟程のパネルを製作した実績があります。

 在来のプレカットは柱、梁などの仕口、継ぎ手加工を主体に行われるため、工場での機械加工はほぼ自動化されておりますが、ツーバイのパネルは複雑な釘打ちを伴うため、工場といえども人の手半分、機械半分といった作業が主体でした。

 しかし、ここ数年の間にツーバイの分野にもパネルソフトの開発が目覚ましく進展し、加工機械とデータのやり取りが出来るようになり、当社でも昨年9月に図面ソフトからデータを送り、定尺材より最適歩留まりでパネル部材をカットし、インクジェットでパネル組のための情報を部材に印字する機能を持ったカットソーを新たに設置しました。

 これによりカット間違いやカット忘れなどのヒューマンエラーが無くなったこと、二つの作業が一度に出来て作業効率が上がったこと、また、人の能力では限界がある最適歩留まりを継続的に行えることなど、かなりの成果が出ております。

 また、ハウスメーカーが案内してくる家を建てられる方も、工場内で材料を搬入台に乗せるだけで自動的に機械に取り込み連続してカットしている様子をご覧になり、驚くと共に製品の品質に納得されて帰られます。

 北海道は他県よりもツーバイ工法の建築率が高く、建築業界全体が低迷している中でも何とか工場稼働を維持しておりますが、繁忙期と冬場の閑散期の受注差が激しいことが現状の間題です。

 勝手なことを言えば繁忙期の受注増に見合った製作能力のある機械で尚且つ、冬場は休ませていてもコスト負担の少ない安価な機械があれば助かります。

 道具・機械の域から自動化された機械・装置へと革新しているこのツーバイパネル分野、金属と違って材質、形状が不安定な原料を扱う木工機械に精通された皆様の技術開発力を発揮していただき、私たちユーザーやハウスメーカーまた、施主様など製品を納める先のお客様の心を一緒に動かす魅力ある機械を作りだされることを期待しております。
木工機械No210 2010年1月