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木材産業要望活動団体が5項目の要望書を政府・与党に再提出

要望活動も継続14年目、着実な活動成果を得る
 
 2016.12 ウッドミック掲載

 ▲公明党議長の太田昭宏衆議院議員へ要望書を手渡す

 
 ▲自由民主党・原田義昭衆議院議員へ要望書を手渡す

 
 ▲公明党政調会長の石田祝稔衆議院議員へ要望書を手渡す

  木材産業要望活動団体(東京都千代田区三崎町2丁目21番2号(リーフスクェア水道橋ビル8階・日合連内、原口博光代表幹事、電話03-5226-6677)原口博光代表幹事、木材関連11団体で構成)は、10月7日付けで5項目にわたる「要望書」を政府並びに与党へ再提出したことを明らかにした。

 2002年に最初の要望書を政府・与党に提出して以来、日新興産㈱社長の原口博光氏が中心となって連綿と続けられてきた木材産業要望活動は現在、▽日本合板工業組合連合会・井上篤博会長、▽日本合板商業組合・足立建一郎理事長、▽全日本木工機械商業組合・桑原柾人理事長、▽日本機械鋸・刃物工業会・渡邉將人理事長、▽日本木造住宅耐震補強事業者協同組合・小野秀男理事長、▽(一社)日本木工機械工業会・井本希孝理事長、▽日本繊維板工業会・澤木良次会長、▽(一社)日本家具産業振興会・加藤知成会長、▽東京都家具工業組合・山口貞雄理事長、▽(一社)全国建具組合連合会・佐田時信理事長、▽全国天然木化粧合単板工業協同組合連合会・松尾和俊会長の11団体が正式に参加名を連ね、今夏に「木材産業要望活動団体」として新たな組織を発足させた。

 代表幹事は原口博光氏、事務局長は日合連専務理事の川喜多進幹事、そして日本繊維板工業会の瀧川充朗幹事、日本合板商業組合常務理事の伊藤洋二幹事、(一社)全国建具組合連合会事務局長の倉橋俊治幹事、東京都家具工業組合専務理事の三谷博久幹事の役員構成で、事務局所在地は日合連事務所内に置かれた。

 その木材産業要望活動団体として早速今年7月29日に平成28年度二次補正予算案に関して、更に8月25日に平成29年度予算案に関して、政府・与党並びに林野庁、国土交通省、経済産業省、文部科学省に要望書を提出し、8月25日午後に衆議院議員会館で行なわれた「住宅・林業・木材関連産業政策について関連団体よりヒアリング」の席には本誌も特別に取材が許され、本誌2016年9月号(402号)で既報している。

 この席上での11団体からの要望とヒアリングの成果は、既に決定されている各省庁の平成28年度第2次補正予算、平成29年度当初予算にも反映された形で示されてはいるものの、各省庁からの公明党への回答書を踏まえ再度5項目に関しての要望書を纏め、10月7日付けの要望書提出へと引き続いての陳情を開始している。

 木材産業要望活動団体の原口博光代表幹事は、「14年にわたる要望活動は知る人ぞ知る成果がようやく実ってきた。参加団体はより主体的に関わって頂きたいと同時に、声の出せない団体からは当方が一任されたと気概を持って代弁し取り組んで行くので、要望書の内容をしっかり読んで頂きたい。当団体はあくまでガラス張りにして活動しており、要望事項にも期限はないので私達と一緒に活動して欲しい。新しいメンバーはいつでも大歓迎である」と語っている。

 そして今回、7月29日、8月25日の要望書に対する回答書を各省から頂いたが、9月29日の幹事会の協議に於いて、将来の木材産業の大きな課題として、敢えて再提出することにした。政府への再提出の陳情は約10回行なわれ、11月7日の陳情は議員会館会議室で林野庁、経済産業省(エネルギー庁)、国土交通省と個別に各1時間の面談が持たれた。

 1項目は、合法伐採木材流通利用促進法の施行に際して、日本材の更なる利用拡大に向けて、持続可能性の証明が新しい認証ビジネスとして、業界に負担をかける制度にしてはならない。

 2項目は、日本材原木のカスケード利用の推進に際して、木質バイオマス発電用木材の需要の増加に対応した原木供給力の増大は、終局的には路網整備、搬出に関わることで、単年度予算で対応できるものではない。複数年度(5年間)の大型予算で計画的に取り組む必要がある。

 FIT認証設備は色々な部門で情報開示の罰則的義務化が必要だ。

 3項目は、「木材利用ポイント制度」の新規復活だが、消費者に日本材の利用拡大に対する補助金であり、外材は対象外、WTO違反にならない知恵が必要だ。

 4、5項目は経済産業省マターだが、「ものづくり補助金」の延長並びに支援規模の充実については、平成28年度二次補正予算「地域未来投資促進事業」として、秋に成立した。平成27年度補正予算より実施期間も長くなった。

 尚、「生産性向上設備投資促進税制」は平成28年度末に廃止になるが、「中小企業促進税制」は「生産性向上設備投資促進税制」の中小企業版として利用できる。

 「省エネルギー設備導入補助金」の活用についても、平成29年度として復活予定である。「展示会への補助金制度」の創設について、平成28年度予算に於いて、海外展示会で採択されることになった。

 また、「国内展示会の補助」については、林野庁木材産業課(当時)の小島孝文課長が展示会主催者への補助制度を新設し、既に二度採択されているが、更なる充実を今後共、要望していきたいと思っている。

 以上、原口代表は要望書再提出に際して、「太田昭宏公明党議長、石田祝稔公明党政調会長、原田義昭自由民主党消費者問題特別委員会委員長、武部 新自由民主党農水副部会長、並びに各省庁の担当者の方々には、我が国の木材産業の活性化に留意頂き、格別のご理解、ご支援を賜っていることに衷心より感謝申し上げたい」と、語っている。

 さて、5項目の要望書の内容は次の通り。
 
 内需の柱としての
-住宅・林業・木材関連産業政策の提案-


 常日頃、我が国木材産業の発展に格別のご理解、ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 さて、平成28年度二次補正予算案及び平成29年度予算案に関して、当該「木材産業要望活動団体」は7月29日(二次補正予算案)と8月25日(平成29年度予算案)、要望書を政府・与党並びに林野庁、国土交通省、経済産業省、文部科学省に提出致しました。

 要望事項の全項目について、各省庁から、迅速にして適切、適確な回答を戴きましたこと衷心より感謝申し上げます。

 諸回答について、当団体幹事会(9月29日、合板会館)で討議の結果、別紙5項目について、再度検討の上、是非実現されん事を要望致します。


1.合法伐採木材流通利用促進法の施行について
  (林野庁・要望事項3、国土交通省・1、経済産業省・6)


 平成28年5月の伊勢志摩サミット宣言において違法伐採根絶の取組として言及された「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」は、平成29年5月下旬の施行に向けて、現在主務省令が検討されているが、本法律の効果的な施行のため以下を要望します。

  1. 本来、合法性の証明は「持続可能な森林経営」の実施のための手段であり、合法性の証明そのものは目的ではない。このため、本法律により登録木材関連事業者となった者が利用する合法伐採木材等は、合法性はもとより持続可能性も確認されたものとすべきであり、グリーン購入法の特定調達品目でも同様の位置づけとすべきです。

  2. 登録木材関連事業者が登録実施機関に支払う、登録実施事務に関する料金は、同事業者の負担とならないよう最小限度の額とすること。

  3. 主務大臣が定める木材関連事業者の判断の基準となるべき事項については、特に、法令に適合して伐採されていることの確認が出来ない場合に同事業者が行わなければならない追加的措置等について、可能な限り具体的、詳細な情報提供と指導及び助言を行うこと。

  4. これまで実施してきた林野庁の木材・木製品の合法証明のためのガイドラインに基づく団体認定制度を有効に活用すること。

 (回答に対する再要望)
  1. 「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」(クリーンウッド法)に基づき策定される基本方針、省令等において、上記4項目が確保されることを強く要望致します。

  2. 特に、持続可能性の担保については、法律を制定し、公共調達のみならず民間調達も全て対象となること、罰則規定を設けること、第三者機関のチェックによる登録制度とすること等これまでの、林野庁ガイドラインよりはるかに充実し透明性の確保された制度となることから、是非とも国産材の製品等で一定の条件(例えば、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の定めた木材の調達基準)を満たすものは、持続可能性が証明されたものとすべきです。「持続可能性の証明が必要であれば、FSC、PEFC等の森林認証を取りなさい」では、法律まで制定して伊勢志摩サミットで世界に発信した本制度の趣旨、メリット・インセンティブ、効果が大きく損なわれると考えます。

2.日本材原木のカスケード利用の推進
  (林野庁・要望事項5、経済産業省・7)
  林野庁


  1. 林野庁が昨年から実施している「需給情報連絡協議会」は、燃料の安定供給の確保や需給バランスの確保の観点からは、大きく前進していることは評価できます。
     その中で出た意見に対して、提示された内容の着実な実施と結果の早期公表を行い、平成29年度の買取価格算定員会の資料として活用できるようにして頂きたい。

    ① 木質バイオマス発電用木材の需要の増加にも対応した原木供給力の増大に向けた取組を進める必要。なお、補助事業においてガイドラインの認定団体等に対する実態把握を予定。

    ② 発電事業者は、固定価格の買取のメリットを活かし、未利用間伐材の利用、林地残材の集荷への取組など、本制度の趣旨を踏まえた対応を検討。

    ③ 原木供給力の増大や都道府県における県内の原木供給見通しの把握、それを踏まえた発電施設認定時の都道府県との連携が必要。

    ④ 生産性の向上や路網整備、搬出・流通の効率化の推進が必要。
  経済産業省
  1. 設備申請の内容と実績との整合及び評価
    FIT認定設備に申請する場合、設備容量、使用燃料、調達先、価格等を報告されているが、一般公表は認定後に設備設置市町村、設備容量、バイオマス比率分と燃料区分(最多となる燃料区分で公表される)のみである。
    FIT認定設備は、定期的に運転実績、燃料使用実績等の報告義務があり、また、事業者認定を行った場合には、その団体が、事業認定者からの報告資料に基づき、情報開示することになっているが、それらの情報開示も殆ど実施されていないので、早急に定期的な公表を望む。
    利用動向調査の詳細な公表資料が、次年度の買取価格算定委員会の審議活かすようにして貰いたい。
    (今までは、データ数が少ないということで、情報開示されなかった。)
    特に平成29年度からは、複数年の買取価格が決められ、運用されるので、木質バイオマス原料の安定供給が必須事項であり、その需給バランスが崩れた際には、必ず既存産業に大きな影響を与えることとなる。

  1. 開示資料の活用
    次の資料が開示されているので、設備申請の受理の際の判断材料として活用して貰いたい。(省庁、出先機関との共有化)

    ① 8/24公表の林野庁資料
    1) 建設資材廃棄物由来のチップは、431万トンであるが、国土交通省の「平成24年度建設副産物実態調査結果」では、建設発生木材の再資源化量は、446万トン(総発生量は500万トン)で、新設住宅着工量から類推しても新たな需要に対しては対応できない。
    →建設資材廃棄物由来のチップを利用した発電設備申請の認可に際しては、供給根拠を明確にして実施すべきである。

    2) 今回の調査対象は全国1,362事業所で、うち、1,294事業所からの回答で、回答率95%です。
    この対象が、建設資材廃棄物を利用している発電事業者を全て網羅しているとは考えられません。(実際に会員会社では、回答していない所もある)

    3) 建設資材廃棄物は、FIT制度では、林野庁の管轄ではないので、この資料の評価を資源エネルギー庁が行い、今後の設備申請の判断材料として貰いたい。

    ② 5月閣議決定された森林・林業基本計画
    この計画の中に示された林産物の供給及び利用に関する目標に関しては、次のように記載されている。
    用途別の木材利用量の目標において、2030年の燃料材の需要量が900万m3、国産の燃料材の供給量が800万m3となっているが、政府のエネルギーミックスでは、木質バイオマス発電が345万kw~461万kwであり、必要な燃料材は5,400万m3~7,400万m3と推計され、整合がとれていない。
    この計画内容の整合化と実際の供給体制の構築化を図り、早急に情報開示を行う。

3.消費者向けの木材・木材加工製品等の利用拡大に対する補助金の実施
  「木材利用ポイント制度」の新規復活
  (国土交通省・要望事項3、林野庁・6)

  1. 日本の森林は、第二次世界大戦後に植林を行った樹木が既に成長し伐採期に到来した。成長した木材を伐採しその利用を拡大し、植林を行い優良な森林を保持しなければ国土を健全に保つことが出来ない。成木の利用拡大を行わねば、地球温暖化を含めた環境保全の実施が出来ない時代となった。国民が木材を利用し、国土の保全に役に立つという意識を高めることが肝要となります。
  2. 国民に木材利用意識を高める為に、住宅等に木材活用の意識付けの手法として「木材利用ポイント制度」を新規復活し、身近に木材を使う動機とします。大多数の国民が木材利用により、国土の保全と環境の維持に役立つ意義を認識するまで、消費者を対象とする補助の実施を強く提言するものであります。

4.「ものづくり補助金」の延長並びに支援規模の一層の充実
  (経済産業省、要望事項2)


 (回答に対する再要望)

  〇 2年の期限立法化
  〇 支援規模の拡大
    ① 一般型補助上限額  : 1,500万円
    ② 高度生産性向上支援 : 5,000万円

5.「省エネルギー設備導入補助金」の復活並びに拡充
  (経済産業省、要望事項3)


 (回答に対する再要望)

  〇 2年の期限立法化
  〇 支援規模の拡大(A類型、B類型)
  〇 補助の引上げ
    1/3以内→1/2以内へ、1/2以内→2/3以内に

 当該団体は木材産業を具体的発想基盤として、現時、日本の立ち位置(デフレマインド)から脱却し、「投資を喚起する成長戦略」を推進する上で、「民間設備投資」、「技術革新」を抜本的且つ大胆に敢行する事を要望します。

 2020年まで安倍首相が掲げる「GDP600兆円」のアベノミクス第3の矢は経済産業省の空前の諸策によって、良質な供給が増加し、その供給増分が需要を刺激し、需要を増加させ、個人消費を活性化させることに、多大なシナジーがあります。

 GDPの大半を占める「設備投資」と「個人消費」の潜在成長率の喚起が現時点で必須です。
 以上

ウッドミック2016年12月号 No.405掲載(PDF形式)

   

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