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建具業界の復興へ向け要望書を提出
木の総合文化・ウッドレガシー推進協議会と
全国建具組合連合会/東京建具協同組合が

 
2019.5 ウッドミック掲載

  一般社団法人木の総合文化・ウッドレガシー推進協議会(東京都千代田区神田三崎町2-21-2、原口博光会長、TEL03-5226-6767)はこの程、建具業界の復興を目指す目的で、一般社団法人全国建具組合連合会(東京都千代田区神田東松下町42番地・東建ビル3階、佐田時信理事長、TEL03-3252-5340)並びに東京建具協同組合(東京都千代田区神田東松下町2番地、岡村宣勝理事長、TEL03-3256-6576)と連名で、木の総合文化(ウッドレガシー)を推進する議員連盟幹事長の原田義昭環境大臣(自民党衆議院議員・内閣府特命担当大臣)、衛藤征士郎会長(自民党衆議院議員)、太田昭宏会長代行(公明党衆議院議員)、石田祝稔共同幹事長(公明党衆議院議員・政務調査会長)、稲津 久事務局次長(公明党衆議院議員・農林水産部会長)へ要望書を手渡した。

 
 
 ▲原田義昭環境大臣(自民党衆議院議員)へ要望書を手渡す。
写真左から坂本 勉・ 全国建具連合会専務理事、原田義昭環境大臣、斎藤晃顕・地域交流センター理事、 原口博光・木の総合文化ウッドレガシー推進協議会会長、田子和則・宮大工古式伝統保存会会長、川喜多進・木の総合文化ウッドレガシー推進協議会専務理事、日高明広・石川県自転車競技連盟会長

 
 ▲衛藤征士郎・木の総合文化(ウッドレガシー)を推進する議員連盟会長(自民党衆議院議員)へ要望書を手渡す。
写真前列左から原口博光・木の総合文化ウッドレガシー推進協議会会長、衛藤征郎議員連盟会長、坂本 勉・全国建具組合連合会専務理事。
後列左から稲村末松・東京建具組合事務局長、倉橋俊治・全国建具組合連合会事務局長、川喜多進・ウッドレガシー推進協議会専務理事

 
 ▲太田昭宏・木の総合文化(ウッドレガシー)を推進する議員連盟会長代行(公明党衆議院議員)へ要望書を手渡す。
写真左から川喜多進・ウッドレガシー推進協議会専務理事、坂本 勉・全国建具組合連合会専務理事、太田昭宏・議員連盟会長代行、原口博光・ウッドレガシー推進協議会会長、倉橋俊治・全国建具組合連合会事務局長、稲村末松・東京建具組合事務局長


要 望 書
 建具業界の将来の展望は21世紀の最大課題である地球温暖化防止・削減が建具業界の成長産業化と密接に関わっている。
 1950年の「都市建築物の不燃化の促進に関する決議」、同年の「建築基準法」。1955年の「木材資源利用可方策」等々によって、木材利用が制限され、住宅環境の変化も相俟って事業規模に於いて、約70%削減した。
 2006年「地球温暖化対策の推進に関する法律」、「住宅や公共施設等への地域木材利用の推進」、同年の「住生活基本法」「森林吸収源対策としての住宅への地域材利用促進」。2008年の「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」。2010年の「木材利用促進法」によって、木材利用抑制政策から、地球温暖化対策の一貫として、積極的木材利用促進が図られる事になった。
 衰退した70%の事業規模を建具産業界が失地回復し、新たなる挑戦を可能とする国の政策が求められている。

1.日本標準産業分類の見直し。
 製造業の中分類に「建具・装備品製造業」と追記し、建設業の、小分類に「建具工事業」と明記する。


 木製建具製造(業界)の事業所統計データーは下記の通り。
 平成20年(2008年)事業所数:11,609社、従業員数:38,489人、出荷額:372,543(百万)
 平成26年(2014年)事業所数:9,801社、従業員数:29,098人、出荷額:263,186(百万)
 2006年以降の「地球温暖化対策の法律」の弾力的運用・実施の観点から、元号が変わる平成31年に、大局的政治判断で改定する。

2.若者が「ものつくり」の職業に就職できる環境作りは「行政の施策と指導が肝要。
 高校教育の進学・就職指導に於いて、約1/3を目標に職業訓練校への進学を推奨する。
 この事は現時、外国人技能者に依存することに成るであろう労働分布の弱点を大幅に緩和することになる。


 3.職業訓練校にCNC5軸制御マシンを導入し、若者の技術教育を行う。
以下、詳細は次葉に明記いたします。


  昭和31年に「全国建具商工連合会」として設立総会を開催し、昭和45年6月に「全国建具組合連合会」と改め平成27年に創立60周年を迎えました。
 「昭和51年には15,131名の会員数ピークでしたが、平成27年では1,843名まで減少しました。
 これは建具産業を支えてきた住宅環境の変化や新築住宅着工数の減少に伴い、建具需要も縮小し、経営難、高齢化、後継者不足など職人中心の産業であるがゆえの現状となっています。
 建具職人の技能、技術は木工加工の中でも最高峰といわれ、非住宅のホテル、公共施設、店舗等での空間や家具、インテリアなど広がりを見せるなど明るい側面もあります。
 1年後には東京オリンピック&パラリンピックが開催されます。
 この絶好の機会に、まずは建具産業のPRを国内外に向けて「和の文化、和のモダン、木の総合文化」といったテーマとともに発信し、次の一歩を踏み出したいと願うものであります。
 日本の「木の総合文化」の代表として、最古の木造建築・法隆寺西院伽藍の五重塔が飛鳥時代から平成の今日迄現存している。
 木材は他材料と比較して、加工に必要なエネルギーが極めて少ない。
 LCA(ライフサイクル評価)に於いて、材料の生産から建設まで、温室効果ガス排出量が「木材」と比べて、鉄構造26%、コンクリート造31%も多いと報告されている。
 2020年オリンピック・パラリンピック招致委員会は木材利用を公約して、東京五輪を招致している。
 2020年は「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて10年目となり、今後の木材需要を考察する局面となります。
 戦後長期間に渡って木材利用は抑制されてきました。
 1950年、「都市建築物の不燃化の促進に関する決議」によって、都市建築物の構造材料への木材の使用禁止が決定され、同年の「建築基準法」によって、防火地域・準防火地域が規定され、都市建築における木材利用が制限されることになりました。
 1955年、「木材資源利用合理化方策」によって、建築物の木造禁止の範囲拡大、土木資材を鉄鋼、軽金属、コンクリート等に転換することになりました。
 2006年、「地球温暖化対策の推進に関する法律」において、森林吸収源対策として「住宅や公共施設等への地域木材利用の推進」が規定されました。
 同年、「住生活基本法」に基づいて、「森林吸収源対策としての住宅への地域材利用の促進」、更に、2008年「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が制定され、国産材などの木材を使用した長期優良住宅の普及が図られるようになりました。
 2010年、「木材利用促進法」によって、長期間木材利用抑制政策から180度転換され、地球温暖化対策の一環として、積極的木材利用促進が図られました。

 ■建具産業を取り巻く課題

 建具は建築物の開口部の開閉を司る部材であり、古来より空間を仕切る可変の間仕切りとして活用されてきた。伝統的な日本家屋にあっては、障子、襖、衝立 の開閉や移動によって大空間から小空間への変化を可能にしている。
 「現代の建築においても、出入口を開閉するドア、大きな空間を仕切るパーテーション、外部と内部を仕切る窓、収納空 間を隠す折戸などに使われている。しかしながら、大手ハウスメーカーを中心とする住宅の洋風化に伴う和建具の減少から、建具の製品出荷高は下落するようになった。
 また、平成初頭から大企業が製造する大量生産品の流通によって建具の販売価格が下落し、中小・零細の建具製造事業者は売上・利益を大幅に減少させた。建具工事において、バブル崩壊やリーマンショックといった経済不況の中で工事単価が削減され、国内の中小・零細の建具事業者は厳しい経営を余儀なくされている。加えて少子高齢化の社会現象もあって、建具技能を継承する若手技能者の確保が進んでおらず、業界として存続の危機を向かえている。
 こうした事情から、国内の建具事業者数は減少の一途を辿っている。

 ■課題可決に向けた取り組み

 建具は気候風土に合わせることができる唯一の建築部材である。
 通風・採光の役割を担う建具は春夏秋冬で気候が変化する日本において必要不可欠な存在となる。経営環境の厳しい建具産業への支援は日本の住文化を守ることであり、国民の豊かな生活を守ることにもつながる。具体的な要望は下記の通り。

1.次世代を担う木工技術者の育成
〇先端技術の環境下で、「ものつくり」を志す若い技術者を育成する
〇職業訓練校にCNC5軸制御マシンを導入し、若手の人材教育を実施する


 日本の木工技術は古い歴史があり、職人の加工技術は世界的にトップレベルです。しかしながら、熟練工の高齢化や、取引先の価格引き下げ要求が高まったことにより、少ない人材や若手人材でも高度な加工や、低コストでの加工を行う必要性が高まってきています。
 これらの製品を、少ない人で、かつ短期的で対応するために木工産業でもっとも必要とされているのが、数値制御の木工加工機です。プログラムに基づいて2軸以上を同時に正確に動かすことができるため、円弧などの曲面や複雑な形状の加工を、高精度で行うことができます。
 日本の木工産業の競争力を高め将来の繁栄につながっていくために、先端技術の環境下でものつくりを愛する若い技術者を育成し、次世代へ継承していくため に教育環境も時代に即した最新設備を整えていくことが現在の最優先事項です。
 「労働者が減っていくなかで、国内の生産性をアップするためには最新のテクノロジーをフル活用することが必須です。若手の人材教育を時代にあった最先端の設備で行うことが最も効率的な教育方法です。現在あまり魅力的でない木工職人も最先端の人気の職種に変貌する可能性があり、今後の木材需要の増加に寄与します。

2.次世代を担う木工技能者の育成
〇CAD/CAMにおける生産システムの近代化
〇若い技術者・技能者の創造性を生かす職場作り
○地域の木を豊富に使い木の特徴を活かした製造への取組


 (1)特に公共工事等においては、技術革新の進展等もあり生産工場における機械化や自動化はますます進んで来ています。こうした動きは木材加工産業全般に影響をもたらし、木製建具、造作家具分野においても、生産のシステム化が進み、企業内においては最新のNC工作機械や最先端技術を駆使した三次元NCマシンなどの導入が高まってきています。

 すでにドイツをはじめとするEUの諸国は、CAD/CAMによる生産準備全般のコンピューターシステム化、さらにNC機械の有効活用の製品づくりが一般的であり、そこには多くの若い技術者・技能者が意欲的に働いています。例えば断熱性に優れた木製サッシ、立体的でデザイン性豊かな北欧家具などはごく自然にCNCマシンが活用されています。
 また、地域の木を豊富に使い木の特徴を活かした製造への取り組みは、日本と共通するものです。私たちも遅れることなく、時代の進化に併せ企業内教育や職業訓練施設などを通じて若者の人材教育に力を注ぐ必要があります。若手技能者にはプログラミングからNC工作機械の操作などの短期訓練を施すことにより、ものつくりへの関心と意欲を引き出す引き金になります。小零細企業体の事業所には、公共の職業訓練及び民間が行う認定訓練を通じてその実現と実行が可能と考えます。

(2)「組子細工」等、正確で精密な技術を磨く地道な鍛錬修行の場も必要
 〇中小零細企業体が占める建具産業では、自力で生産力を高め、若者を入職、育成していくには国の助成が必要


 一方、住宅関連においては、変わらず和の建築をベースとしたオリジナル製品、さらに新たなデザイン性に富んだ木製品を求める顧客も存在します。 古き良き日本の伝統美と現代の建築技術がコラボレーションした家のデザインなどの要求もあります。私たちは、適時、それらに対峙して行かねばなりません。
 さらに組子細工など、古来から継承されてきた伝統工芸品なども依然として根強く残されています。そこには、手作業を中心とする世界があり、正確で緻密な技能を磨く地道な鍛錬修行の場を必要とします。この道を目指す若者も少なくありません。こういった伝統の技も同時に 後世に伝えていかねばなりません。しかし、中小零細企業体を占める建具産業では、現行、自力で生産力を高め、若者を 入職、育成していくには限界があり、困窮しているのが事実です。

(3)若手技能者、熟練技能者の社会的地位向上を図る
 〇日本の「ものつくり」の継承には、若者を対象とした優れた技術・技能者の育成が必要


 熟練工の高齢化や少子化が進み、次世代を担う技能後継者は年ごとに激減し職人不足も含めて業界内は活力を失ってきております。
 加えて、新卒者をはじめとして若者の入職率も遅々として進まず、若年技能者の定着率も低下し深刻な問題となってきています。
 建具産業では職業能力開発促進法(旧職業訓練法)に基づき認定職業訓練を実施し若手技能者の育成に取り組んでいますが、訓練が継続できているのが、唯一、東京建具協同組合だけといった状況です。この傾向は若年層の絶対的不足から来る訓練生の確保・維持が難しく必要性は感じつつも資金的に断念せざるを得ない団体(組合)が多数を占めているのが実情です。この状況は二十数年前から懸念され現在に至っていますが、この間、少子高齢化対策を講じてこなかった反省材料といえます。こういった状況は木材加工業のみならず、木材産業、建設業など他の産業においても同様といえるのではないでしょうか。
 日本の「ものつくり」の継承には、若者を対象とした優れた技術・技能者の育成強化が必然です。我が国には職業能力開発促進法がありますが、制定から50年、そして技能検定制度ができてから60年が経過します。しかし、昨今の日本の技能五輪の成績低下を見るまでもなく、若手技能者、熟練技能者に至るまで、技能者の社会的地位向上は、世界に比しても大きく遅れをとっているといえます。

(4)公共訓練(職業能力開発センター)と 認定訓練(職業別職業訓練校)、相互の利点を活かした人材教育の実施
 〇公共訓練校に大型NC制御機械を設備して、認定訓練校の訓練生も共に実習可能とする。


 若手技能者育成の登竜門といえる職業訓練には大別して都道府県が行う公共訓練(職業能力開発センターなど)と、民間が行う認定訓練(職種別職業訓練校)がありますが、これらが、若年技能者の育成にどれだけ機能し成果を上げてきたか検証する必要があります。同法で実施されながら、公共訓練と認定訓練では指導内容が異なります。実践実学指導を基本とする認定訓練と、教科マニュアル忠実を基本とする公共訓練とでは訓練の目的に差異が生じます。
 いずれにしても日本には職業訓練を通じて優れた技能者を排出する制度があり、方針は間違っているとは思えません。現状の問題点を克服し、公共と民間の訓練の問題点を議論し、相互の利点を活かした人材教育が施される事を期待します。

(5)若者が「ものつくり」の世界に就職出来る環境作りは、行政の施策と指導が肝要
 ○ドイツのマイスター制度の如く、技能者の育成を目的とする職業訓練校の充実を図る。

 また、業界における人材対策の問題は、単に少子化の影響に止まらず、様々な要因が重なり合っての現実があります。一つにバブル崩壊後、他業種と同様、建具 事業所も多数が倒産あるいは廃業を余儀なくされ、全国の会員数も大きく減少しました。(昭和51年当時の会員数15,131名が平成27年1,843名となる)
 特に中堅以上の事業所の廃業は、業界全体に活力を喪失させ、併行し技能労働者の離職を生み出す結果となりました。よって、若年技能者の確保や育成まで手が回らなかったという現実です。日本経済の低迷が続く今日にあっても同様で、将来へ向けて前向きな事業所と諦めムードの事業所には、ある面、経営的にも格差が生じています。
 技能技術の継承には会員の多くが賛同の意を示しますが、若年技能者の受け入れには静観している状況です。そうはいうものの、業界として若者が「ものつくり」の世界に就職出来る環境づくりは肝要で、精力的に取り組むべき大切な事業と心得ます。
 随時、小中学校あるいは高等学校へ赴き体験授業を通して、ものつくりや業界の啓蒙活動は促進していますが、なかなか職人採用までの成果が上がっていない状況です。
 行政の施策と指導に期待したいものです。

3.建具職種の認知見直しついて
 〇日本標準産業分類の見直しを実施する。
 〇建具は製造業の中分類に「建具・装備品製造業」と追記し、建設業の小分類に「建具工事業」と明記する。


 建具業は、日本標準産業分類では家具と同様、大分類で「製造業」に位置づけられます。そして中分類では「家具、装備品製造業」、小分類で「建具製造業」と明記されます。
 建具は仕事内容で見ると、簡潔にはまず建設現場で採寸し、次に工場内で製作、そして建設現場で調整工事を施し収納といった手順となります。
 よって、家具業とは異なり製作から収納といった現場工事業が加わります。ゆえに建具は、建設業法の公工事業の中に「建具工事業」として定められています。すなわち建具業の多くは製造業でもあり建設業でもあるといった特異性のある職種といえます。
 しかし、日本標準産業分類の建設業の小分類をみても「その他の職別工事業」とだけしか記されていません。
 長年、住宅の開口部分を手掛け、日本の住まいづくりをはじめその他の住空間を担う役割を果たしてきたのにも関わらず、行政が示す産業分類の扱いが、いわゆる「曖昧」と言わざるを得ません。
 当建具産業では昭和42年度より全国建具展示会を開催し、建具はじめ木材加工品の啓蒙活動に励んでまいりました。今年が第52回を迎え業界を挙げて行っています。
 優秀な作品には、それぞれ内閣総理大臣賞、通商産業大臣賞、国土交通大臣賞、厚生労働大臣賞、農林水産大臣賞、文部科学大臣賞、中小企業庁長官賞、林野庁長官賞などが毎年贈られています。すなわち建具という職業の特異性から、上記各賞の授与が関係省庁から奨励されているものと受け止めています。
 願わくは、建具は製造業の中分類に「建具・装備品製造業」と追記し、さらに建設業の小分類に「建具工事業」と明記して戴きたい。是非、産業分類の見直しのご検討をお願いする次第です。

 以上、ご検討の上、是非実現されん事を要望致します。
 以上
ウッドミック5月号掲載(PDF
 
 

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